【今週の秘蔵フォト】日本映画界を代表する大女優だったいしだあゆみは昨年3月11日、76歳で惜しまれながら亡くなった。日本中が悲報に言葉を失ったことは記憶に新しい。活動の幅は広く、歌手としては1968年「ブルー・ライト・ヨコハマ」が約150万枚のミリオンセラーを記録し、紅白歌合戦にも出場した。

 70年代に入ると女優業に本腰を入れ、73年「日本沈没」の好演技が評価を得る。77年には五木寛之原作の「青春の門・自立篇」、81年には高倉健との「駅 STATION」などの話題作に出演。87年には緒形拳との「火宅の人」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、その後もテレビドラマなどで大活躍した。

 74年2月21日付本紙には当時25歳のいしだのインタビューが掲載されている。清楚かつりりしいルックスは今でも胸を打つ。涙もろさに話題が及ぶと「悲しいと思う前に涙が出ているの。花嫁さんを見ると悲しくなるし、人がケンカしていても泣いてしまうし」とナイーブさを明かした。

 それでも気の強い一面もあり「自分の生き方は自分で決めたい。とやかく他人に指図されるのはいや」と言い切った。住まいはホテル形式のアパートでベッド、ステレオ、家具、キッチンセットすべて備え付け。「花やお人形で飾るのは趣味じゃなくて殺風景。まるで事務所みたい。でも毎日ちょっとしたことが楽しいの」と笑顔を見せた。生涯を通じて役者であることを貫いた大女優の姿は、永遠に日本人の記憶に残る。 (敬称略)