落語界に偉大な名跡が復活した。三遊亭ふう丈改め二代目三遊亭円丈の襲名披露興行が現在、都内の寄席で行われている。先代の円丈は“新作落語中興の祖”と言われ、歴史を変えたと言われる伝説の落語家。そんな“レジェンド”とも言える名前を自ら志願して襲名したという二代目に、これからの“覚悟”を聞いた。
二代目円丈は2011年に先代の初代円丈に入門し、ふう丈を名乗った。22年に初代円丈が亡くなったのに伴い、兄弟子だった三遊亭天どん門下に移籍。そして今年3月、真打昇進とともに二代目円丈を襲名した。これは自ら志願してのことだったという。
円丈は「志願して襲名というのは結構まれだと思います。普通は師匠から『真打になるにあたってこの名前を継げ』とか言われるもの」。それでも志願したのは「一番は自分が師匠の名前を継ぎたい思い。それとこれは後付けになりますけど、“円丈”という名前をこのまま埋もれさせるのは惜しい。今後、この名前が別の一門で襲名される可能性もあるので」と説明した。
こうして襲名を志願したわけだが、簡単に決まったわけではないという。現在の師匠である天どんは円丈襲名には大反対。それどころか「今でも大反対ですね」。最初に「継ぎたい」と天どんに言ったのは真打昇進が決まった翌日だった。
「昨年の4月です。伝えた時、師匠は『えっ?』って言って絶句してました。それで『正気で言ってんのか?』って言われて、『本気です』」
天どんが驚いたのも無理はない。初代円丈の九番弟子で、当時はようやく真打昇進が決まったばかり。それが“レジェンド”とも言うべき名前を継ぎたいと言ったのだ。
「師匠には『お前、どれだけの名前か分かってます?』『“新作落語中興の祖”と言われるくらいの、一代で大きくした名前をお前ごときが継ぐことの意味、分かってます?』と言われましたね」
それでも継ぎたいとお願いすると、師匠から条件を出された。「まずは初代円丈の一門と家族の了承をもらってこい、と。話はそこからだ、って」
そうして兄弟弟子と家族の了承を取った。「それはすんなりというか…。ウチの一門は私を含めて10人いるんですが、誰も名前を継ぐ気がない。このままだと誰も継がないので、みなさん二つ返事で大賛成。むしろ良かった、と(笑い)。おかみさんも賛成とは言わなかったけど『いいんじゃない』と。ただそれでも師匠は反対でした。認めてはないけど、お前がそう言うならという感じで」
ただ実際に“円丈襲名”を発表すると、反響の大きさに驚いたという。「もちろん、みなさん祝福してくれたんですけど、『えらいことしてしまったな』と初めて実感しましたね。落語界以外からも反響があって。分かってたつもりだけど、すごい名前なんだ、と。発表後の落語会にはすごいお客さんが来てくれたし」
今後について「どんな円丈になっていきたい?」と聞くと、「すでに大きい名前ではありますけど、継ぐ以上はさらに大きくしていかないといけない。それと新作の名跡を継いだわけですから、今後は後輩のための新しい新作落語の道をつくっていかなくてはいけないという使命感がある。周りを巻き込んでの新たなムーブメントをつくっていきたい」と決意を語った。
☆さんゆうてい・えんじょう 1984年8月23日生まれ。熊本県出身。本名・岡村卓。2011年に初代三遊亭円丈に入門。12年に前座となり三遊亭ふう丈を名乗る。22年2月、初代円丈死去により三遊亭天どん門下に移籍。今年3月、真打昇進とともに二代目円丈を襲名した。真打昇進襲名披露興行を3月22、27日に上野・鈴本演芸場で開催。今後は4月2、7日に新宿末廣亭。11、18日に浅草演芸ホール。24、30日に池袋演芸場。5月15日に深川江戸資料館で行う。













