松山ケンイチが主人公の裁判官を演じるNHK火曜ドラマ「テミスの不確かな法廷」が、リアル法曹界の問題点を次々と浮かび上がらせて視聴者を驚かせている。
24日の「テミス」第6話では、執行された死刑囚の冤罪を訴える再審請求審がテーマ。25年前の「前橋一家殺人事件」はドラマの底流をなすエピソード。娘(齋藤飛鳥)が法廷で「父はやってない、犯人じゃない。検察にある証拠を出してください。それで、父の無罪は証明できるはずです」と涙ながらに陪席の安堂(松山)ら裁判官に訴えた。
そんななか、26日に一般紙1面トップを飾ったのが「日野町事件で再審開始」のニュースだった。滋賀県日野町で1984年に起きた強盗殺人で無期懲役が確定し、服役中に病死した男性の再審を認める判断を最高裁が下した。無期や死刑が確定した事件で戦後初の「死後再審」と言われ、再審無罪の公算が大きいとも報じられた。
X(旧ツイッター)では「何というタイミングか…現在放映のドラマを地でゆくとは」「ドラマ『テミスの不確かな法廷』が被る」「次の日に日野町事件のニュースが出てきてびっくり」などとドラマとリアルを重ねる言及が相次いだ。
ドラマでは状況は異なるが、まさに「死後再審」が描かれた。リアル社会では16日、女児2人の殺人事件で死刑が執行された「飯塚事件」(92年)の再審請求が福岡高裁で退けられ、弁護団が最高裁へ特別抗告。戦後間もない時期の「菊池事件」の再審請求も、熊本地裁が1月に請求を棄却し、弁護団が即時抗告している。被告は死刑を執行されている。ドラマが描く、死刑執行後の再審への壁は厚い。
「テミス」6話では、検察側による再審請求対策の集まりで「ただ、万が一再審を認めても、こっちが即時抗告すればいいだけだ」と声が上がる場面もあった。娘が訴えた証拠開示も、後ろ向きな古川検事(山崎樹範)に対し、裁判長の門倉(遠藤憲一)が「こういうところで何年も時間かかっちゃってんだよ。可及的すみやかに!」と厳しく促した。
長期化が問題視される再審制度を巡っては、元プロボクサーが無罪となった「袴田事件」を機に改革議論が本格化。検察側の抗告繰り返しや、証拠開示のあり方が主要な論点となっている。ドラマはそれらも提示した形だ。












