ジャーナリストの伊藤詩織氏(36)が12日、都内で行われた「Black Box Diaries」初日舞台あいさつに出席した。

 同作は、2015年に伊藤氏が元TBS記者から受けた性的暴行被害とどう戦ってきたかを記録したドキュメンタリー映画。伊藤氏自らが監督を務め、日本人監督初となるアカデミー賞にノミネートされた。

 この作品をめぐっては、被害を受けた現場ホテルの防犯カメラ映像がホテルの許諾なしで使用されていることや、捜査官とタクシードライバー、弁護士らの映像や音声が無断使用されていることなどが物議をかもしていた。

 日本での公開の日を迎えて、伊藤氏は「映画のプロセスについて様々なご意見がありました。私も反省するところがありました。ただ、今日を迎えるまで、この映画を本当に上映できるのかという恐怖がありました」と心境を吐露。制作をめぐる一連の報道に対する声明をホームページに載せたことを知らせた上で「ご迷惑、ご心配をおかけしました」と述べた。

 制作中を振り返っては「葛藤の嵐。葛藤でしかなかった」と回想。2017年に出版した著書「Black Box」を執筆していた際は、ジャーナリストとして制作に取り組んでいたことから「トラウマから逃げられていた」というが、映画制作においては「向き合いたくないもの全てと向き合って作りたいと思った。トラウマになっていて忘れていたことを、自分の中で整理ができた」と明かした。

 改めて、伊藤氏は「身の回りにある話せないことを、書くことがまず第一歩。少しずつ話しづらいことに対してオープンにしていけたらいいなと願っています」と観客らに呼びかけた。