番付最高位の意地を見せられるか。大相撲夏場所11日目(21日、東京・両国国技館)、横綱豊昇龍(25=立浪)が幕内伯桜鵬(21=伊勢ヶ浜)を退けて2敗を死守した。全勝で首位を独走する大関大の里(24=二所ノ関)とは星の差2つ。新横綱誕生の機運が日ごとに高まるなか、元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は一人横綱に奮起を促した。

 豊昇龍が、薄氷を踏むような相撲で2敗を死守した。伯桜鵬に押し込まれながらも、俵を伝って回り込む。土俵際で残して組み止めると、最後は相手が腰砕けであおむけになった。取組後の支度部屋では「集中して、落ち着いて相撲を取れて良かったと思います。危なかったけど、そこで慌てず落ち着いて集中していたから、残れたと思う」と振り返った。

 平幕を相手に〝辛勝〟の印象を残した一番。それでも、秀ノ山親方は「攻め込まれた相撲にはなったけれど、本人の中では自分の相撲が取れたという感覚があるのでは。立ち合いでしっかり当たれているし、押される展開から、持ち前の運動神経の良さが出た。序盤は硬さが目立って取りこぼしていたが、その時に比べれば動きは良くなってきている」と分析した。

 綱取りに挑む大の里は、無傷の11連勝で優勝争いの首位を快走。11日目を終えて、2差で追いかける力士は豊昇龍一人だけという状況になった。このまま千秋楽を待たず大の里に独走Vを許せば、豊昇龍は横綱としての存在価値を問われることになりかねない。逆転優勝の成否は別にして、豊昇龍にとって残り4日間は地位の重みを示す戦いとなる。

 秀ノ山親方は「今場所は大の里の強さが際立っていることは確か。ただ、今の番付で横綱は豊昇龍だけだから。最高位としての存在感を、しっかりと示してほしい。このまま大の里が独走優勝して横綱に上がれば、周りの評価も、ファンの期待も全部持っていかれてしまう。ここから豊昇龍が、どんな相撲を取るか。それが今後にもつながっていく」と力説した。

 千秋楽の結びでは、豊昇龍と大の里の直接対決が見込まれる。夏場所最後の取組が大一番となるのか、消化試合となるのかは、横綱次第。秀ノ山親方は「豊昇龍には、星を落とさずに最後までついていってほしい。もともと負けん気の強さと、ここ一番の集中力は誰よりもある力士。横綱としての意地を見せて、場所を引き締めてもらいたいですね」と一人横綱に奮起を求めた。

 果たして、豊昇龍は大の里による独走Vの流れを変えることができるのか。ここから真価が問われることになりそうだ。