総合格闘家で前RIZINフェザー級王者の鈴木千裕(25)が皆さまの人生相談にお答えする「鈴木千裕の稲妻メンタルクリニック」。格闘技イベント「RIZIN男祭り」(4日、東京ドーム)での朝倉未来(32)戦を控える中、今回は業界の垣根を越え、あの選手からの相談が寄せられた。(聞き手・前田 聡)

【鈴木千裕の稲妻メンタルクリニック】

 ――春ということで、新社会人からの相談が来ています

 鈴木 もうそんな季節ですね。恐縮です!

 ――「学生気分が抜けません。どうすればスイッチが入りますか?」とのことです

 鈴木 これは意識の問題で、プロフェッショナルになってくると変わるんですよ。僕はプロデビューした時は学生で、まだ「練習に行かないで友達と遊びたいな」とかあったんです。その時は「自覚のないプロ」だった。でも「俺はこれで生きていく」って思った時に、練習が「仕事」になるんで。そういう覚悟が決まる瞬間は、必ず全員に訪れるんです。この方も「ここで働いて、将来こういうビジョンを描こう」みたいなものを考える瞬間が来るんです。だから全然、それまで学生気分でいいと思いますよ。

 ――鈴木選手の覚悟が決まった瞬間は…

 鈴木 20歳くらいの時、解体現場でバイトしていたら年下のベトナム人の子に「お前、アレ運べ!」って言われた瞬間ですね。その時に「俺、絶対に格闘技を頑張ろう」と思って、スイッチが入りました。「この生活を抜け出そう」って。理由は何でもいいんですよ。きっかけに気付くか気付かないかなので。

 ――なるほど。続いての質問は「アマチュアでMMAをやってるんですが、年を重ねて体が動かなくなったら何をしたらいいか、悩んでいます」というものです。

 鈴木 動きますよ、年を取っても。一番大事なのはケガする前にケアすることです。痛くなくても疲れてなくても温泉に行ったり、整体に行ったり、電気治療をしたりとか、そういうメンテナンスをしっかりやることが秘訣です。自分の体を車だと思ってください。エンジンは人間でいえば心臓だけど、換えられないんですよ。タイヤも換えられないんですよ。でも、タイヤもエンジンも消耗品なので。その劣化をできるだけ防ぐために、定期的にケアして休ませるというのが大事だと思います。

 ――相変わらず例えが独特だ…

 鈴木 大事なのはやっぱりウエートトレーニングですね。体を支えるのは筋肉と骨なので。僕のイメージは、格闘技の練習は刀の切れ味をよくすることなんですよ。威力とか殺傷能力を上げるのが競技練習。で、鎧や盾を強化するのがフィジカルのトレーニングなんです。刀を研いで切れ味を上げても鎧がなかったら、ボスに1回攻撃されたら負けちゃうじゃないですか。だから鎧を鋼鉄にするために筋トレをして、ちゃんとご飯を食べて寝ることが大事ですよ。そうすれば長くできると思います。

 ――ありがとうございます。では、続いて全日本プロレスの宮原健斗選手からの質問を預かっているんですが…。顔見知りらしいですね

 鈴木 はい。あの金髪の方ですよね。何度か会ったことがあります。でも、僕に答えられることがありますかね?

 ――「連戦を切り抜ける精神面をどうやってつくってますか」とのご相談です。全日本はちょうどチャンピオン・カーニバルを開催中です

 鈴木 なるほど。僕は「労働時間」を出すのがいいと思ってるんです。例えばMMAは5分3ラウンドの15分なんで、1日の中の労働時間が試合の日は15分なんですよ。そこまで積み重ねているものはあるけど、全部除いて考えるんです。それで当日は極力に何もしないんですよ。携帯も触らない。音楽も聴かない。それで周りとは普通の日常会話をするんです。そうやって、その日1日分の集中力を全てその15分に注ぐんです。試合の日は試合以外を完全に無の状態にする。すると練習より楽なんですよ。練習は1日5~6時間くらいやっているから。試合は15分やった後、仲間とご飯食べてお祝いしてってなるじゃないですか。だから、試合の方が楽なくらいです。プロレスは1試合何分ですか? 30分が多いんですか。そしたら、1日30分でいいっていう考え方にすると、精神的に楽だと思います。僕も、どんなビッグマッチでも、会場が東京ドームだろうとも、この気持ちでいきますよ!