フジテレビの一連の問題を巡り、親会社のフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)の大株主である米ダルトン・インベストメンツは16日、フジHDにあてた「株主提案書」を公開した。そこには独自の取締役選任案に加え、不動産事業を切り離す提案も…。これには局内からは前向きな声と同時に「イバラの道が待っているのでは」と不安の声も上がっている。

 3月末時点でフジHDの発行済み株式の5・8%を保有するダルトン。元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発した一連の問題で、フジは役員体制を刷新し、3月末に第三者委員会の調査結果を報告。しかし、ダルトンはフジの清水賢治社長をはじめ旧体制の取締役5人が留任することを厳しく批判してきた。

 この日公開した株主提案書では、6月のフジHDの定時株主総会で、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人を取締役に提案することを発表。さらに「不動産事業が収益を支え、放送・メディア事業がこれに甘えるという構図を長年続けてきた」と、本業である放送・メディア事業単独で成長するべきと厳しく指摘したのだ。

 フジの広告収入が激減し、窮地に追い込まれているように見えるフジHDだが、営業利益でいうとサンケイビルなど不動産事業で半分以上を稼いでおり、フジ単体では2割にも満たない。

「中居氏を巡る問題が起きた際、経営陣が不安な社員たちに対し、給与について『心配ない』と落ち着かせようとしてきたが、それは好調な不動産事業があるから。でも、それはあくまでフジHDとしてのもの。ダルトンの提案通り、『もしフジが切り離されれば、イバラの道が待っているのでは』と局内は戦々恐々としたムードに包まれている」(フジ局員)

 新たな取締役として提案された北尾氏は17日にも会見を行い、構想を発表する予定だ。

 北尾氏といえば、2005年にライブドアの堀江貴文氏が、当時のフジ大株主だったニッポン放送を買収しようとした際、ホワイトナイト(買収防衛役)としてフジ側を救った人物として知られる。

 20年前は堀江氏と敵対したが、今月7日に更新した自身のフェイスブックではフジの経営体制を猛批判。その上で「堀江さんが経営していたら、メディアとネットの完全融合がなされ、進化した高収益会社になっていたと確信する」とコメントした。最近、SNSやユーチューブなどで堀江氏はフジの再生策をたびたび口にしており、株主総会で小口の個人投資家たちの動向に影響を与えるかもしれない。

「6月の株主総会でフジの未来が大きく左右することになり、多くの社員は不安を抱いている。ただ、フジは絶対に生まれ変わらないといけないのも事実。ある意味、不動産事業に甘えず、退路を断って放送・メディア事業に社員も一丸になって向き合えば『テレビ業界全体を変えられる』と前向きに捉える声も一部にある」(同)

 フジの未来はいったいどうなるのだろうか。