綱の権威を示せるか。大相撲春場所4日目(12日、大阪府立体育会館)、新横綱豊昇龍(25=立浪)が、幕内豪ノ山(26=武隈)をはたき込んで〝瞬殺〟。初日の黒星発進から3連勝と勢いに乗り始めている。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は、豊昇龍の4日間の相撲内容を分析。連勝を伸ばしていくためのポイントを指摘した上で、史上10人目となる新横綱Vの可能性を占った。

 豊昇龍が豪ノ山の挑戦を難なく退けた。立ち合いから鋭く踏み込んで頭から当たると、素早く体を開いてはたき込み。取組後の支度部屋では「集中していたので、体の反応も良かった。だんだん体が動いてきているし、落ち着いているので、いいかなと思います。緊張? なくなったわけではないけど、集中すると大丈夫」とうなずいた。

 新横綱として注目を集めた初日は小結阿炎(錣山)に屈して黒星発進。立ち合いで張り差しを狙って墓穴を掘り、一方的に突き出される完敗を喫した。2日目に幕内若隆景(荒汐)を力強く寄り切って初白星を挙げると、3日目は幕内若元春(同)に土俵際まで攻め込まれながらも首投げで逆転勝ち。そして、この日で3連勝と勢いに乗り始めている。

 豊昇龍の相撲内容について、秀ノ山親方は「初日は硬さもあって、阿炎の一方的な相撲になってしまった。2日目以降は修正して、この日の豪ノ山戦では立ち合いから踏み込むことができている。はたいて勝負が決まったけれど、しっかり当たって相手に圧力をかけてからの動きだから問題ない。横綱の地位にも徐々に慣れてきて、勝ち星を重ねることで自分のペースがつかめてきたのでは」と分析する。

 連勝を伸ばしていくためのポイントとしては「負ける要素を減らすためには、小手先に頼って安易に勝とうとしないこと。初日のような相撲だと、相手の圧力に負けて軽さが目立ったり、上体に力が入りすぎて受けに回ってしまう。そこは精神的な部分。強気な攻めの相撲で横綱に上がったのだから、その気持ちを最後まで貫いてほしい」と指摘した。

 4日間を終えて、すでに横綱を含めた役力士で勝ちっ放しはゼロ。全勝は遠藤(追手風)と阿武剋(阿武松)の平幕2人となり、早くも「荒れる春場所」の様相を呈している。実際、1年前には尊富士(伊勢ヶ浜)が110年ぶりに新入幕優勝を達成したことは記憶に新しい。それでも、秀ノ山親方は豊昇龍が新横綱Vを果たす可能性は高いとみている。

「相撲の厳しさで言うと、やはり豊昇龍が幕内では頭一つ抜けている。身体能力の高さに加えて、反応の速さ、勝負勘は誰にも負けないものを持っている。これが横綱だという相撲を取り切って優勝することで、番付の重みというものを示してほしい」と期待を込めた。横綱デビューの場所は、まだ始まったばかり。千秋楽で賜杯を抱き、番付最高位の威厳を示すことができるか。