ラッパーのZeebra(52)ら日本のトップを走るラッパー12人が集まり、いじめ撲滅チャリティーソング「No Bully」を今春、発売することが分かった。チャリティーイベントも予定している。どういう思いでこのプロジェクトを作り、参画したのか。Zeebraと、プロジェクトを立ち上げた「一般社団法人Homie子ども未来育成会」代表理事の井上ケイ氏に話を聞いた。

 ケイ氏はアメリカの極悪刑務所で10年間にわたって服役し、その中でチカーノ(メキシコ系アメリカ人ギャング)の一員に迎え入れられた。日本に帰国してから20年以上にわたって悩める多くの人々、特に子供たちのサポート活動を続けている。「チカーノ先生の生きるヒント」など著書も多数ある。

 以前から取り組んでいたのが、いじめ撲滅運動だ。文部科学省は昨年2月、全国の学校や教育委員会に悪質ないじめは警察への通報や相談を徹底するよう通知を出したりはしているが、日ごろから子供たちと接しているケイ氏からすると、まだまだ十分ではない。

「いじめられている子が転校したり、引っ越ししたり、逃げなきゃいけない。それが今の日本なんです。いじめを少なくするためには、いじめている子たちを再教育するほうが確実です。いじめている子たちは誰かしらラッパーの人たちを崇拝しているケースが多い。自分が尊敬している人たちから『お前ら、なにカッコ悪いいじめなんてやっているんだ』と言われると、いじめも多少は減少するじゃないですか。それでお願いしました」

 ケイ氏に賛同して集まったのが、Zeebraを含めてOzworld、KEIJU、IO、Jesse、アナーキー、D.O、漢、BOO、田中雄士、GDX a.k.a SHU、般若の計12人。ヒップホップシーンをけん引するアーティストばかりだ。

「いじめ絶対ダメ」を意味する曲「No Bully」を近日中にリリースする。12人がおのおのの思いをラップしており、それぞれ6人ずつの2曲にする予定だという。

井上ケイ氏(左)の話に聞き入るZeebra
井上ケイ氏(左)の話に聞き入るZeebra

 ケイ氏の活動に共感していたというZeebraは「そんなにひどいいじめを受けたこともないし、そんなにひどいいじめをしたこともないと思うんですけど、ちょっとしたことは両方あるんですよ」と子供時代を振り返った。

 その上で「弱い者いじめって一番、カッコ悪いじゃないですか。強い気になっているだけで。今回(の新曲)は1番と2番構成。1番はいじめられている子に向けて、2番はいじめている子に向けて歌っています。いじめられている子、いじめている子の両方とも必要なのは夢なんです。例えばいじめられて四面楚歌みたいになっていても、何か自分がやりたいことであったり夢があったりすれば、気持ちの切り替えができます。いじめる子も本気で力を入れられるものがないとか、そういうことが無駄なパワーを作ると思うので、将来とか明るい未来を想像できるようにしていきたい」と力説する。

 Zeebra自身が「早熟だった」と言うように、12歳のころには六本木など繁華街に遊びに行くようになった。決してマジメな学生時代ではなかったが、16歳でヒップホップと出会い、大きく意識が変わった。

「マジメに、ポジティブにいきたいという意識になった。ティーンエージャーのうちはまだスポンジなので、こういう曲を聞いてもらって、われわれの生きざまとかを伝えることで何か活路を見いだす、そうなってくれればいいなと思います」

 夏過ぎにはチャリティーイベントも予定している。ライブのほか、ダンスコンテストなども開催予定だ。Zeebraは「みんなでユニティ(団結)を感じられるような、ジェンダーだったり人種だったり、年齢、職種、全部を通り越してユニティが作れるイベントにしたいねと言っています」と話した。