【アニソン四半世紀 特別編】2023年に注目を集めたアニソン3曲をピックアップした「アニソン四半世紀特別編」。まずは1~3月期放送アニメ「Buddy Daddies」のオープニング曲「SHOCK!」から。アニメは、バディとしてチームを組む殺し屋の男2人が、暗殺した相手の娘を引き取って育てるというストーリー。そのテーマ曲を歌ったのはYOASOBIのメンバーであり、コンポーザーとしても破竹の快進撃を続けているAyase。ボーカリストとしては、これがソロ初のアニメ主題歌だった。
YOASOBIではikuraがボーカル担当だし、ボカロPとしてボーカロイドを起用した楽曲も多く、Ayaseの一般的なイメージはクリエーターであり、あまり“歌う人”とは受け止められていないかもしれない。が、シンガーとしてのAyaseの実力は相当なものである。おそらく自分のボーカルがマッチするタイプの楽曲でのみ歌うことにしているのかもしれない。そういう意味では「SHOCK!」は緻密に練り上げられたアレンジ&サウンドに、Ayase自身の声が不可欠だったのだと思う。
23年はアニメ「【推しの子】」の主題歌「アイドル」が空前絶後の大ヒットを記録したため、どうしてもそちらに注目が集まってしまったが、その陰でこの「SHOCK!」のような良曲をさりげなく生み出していたAyase。アニソンの世界でもまだまだ大活躍してくれそうだ。
続いては同じく1~3月期放送のアニメ「氷属性男子とクールな同僚女子」のオープニング曲「FROZEN MIDNIGHT」。歌っているのは声優アーティスト・佐久間貴生。
ストーリーは雪女の末裔という主人公の男性と、会社の同僚であるクールな女子が繰り広げるラブコメディーで、キャラクター設定やアニメのタイトル、そして“凍てついた真夜中”という意味の曲名など、ちりばめられたキーワードからは冷たいムードばかりを連想してしまう。しかし実際に伝わってくるのは何とも言えないぬくもりや優しさなのだ。
ミディアムテンポで演奏の音数も少なく、サウンドはそれこそ“クール”なのだが、そこに乗せて歌われる歌詞や歌声は癒やしに満ちている。この曲、ショートドラマ仕立てのラブストーリー風MVも秀逸で、静かに降り注ぐ雪の中で歌い踊る佐久間を含めた登場人物たちの笑顔にはほっこりとさせられる。この優しいムードはアニメ本編でも共通していて、氷や雪、冬という舞台だからこそ恋愛や友情などの温かさがより一層伝わってくる。放送からちょうど1年たった今、また季節的にはピッタリなのでぜひ聴いてほしい1曲だ。
最後は10~12月期放送の人気作「星屑テレパス」から。伊藤美来が歌う「点と線」がそのオープニング曲だ。
女子高生たちが部活の「ロケット研究同好会」を立ち上げ、ロケットを製作して将来は宇宙を目指すというストーリーだが、SFというよりも描かれているのはモデルロケットのコンテストに出場するなど、現実に根を下ろした学園青春アニメである。とはいえ、メインキャラクターの一人は自称宇宙人だし、宇宙への憧れは大きなテーマとなっている。
その世界観に「点と線」という曲は見事にマッチしている。決して大げさに壮大な宇宙を表現しているようなサウンドではないが、シンセ中心のキラキラとしたアレンジや全体を包む浮遊感は紛れもなくスペーシー。そんな心地良いサウンドに乗せて、主人公たちが女子高生であるという純粋さや甘酸っぱさを、分かる人には分かるであろう伊藤美来の“あの声”が透明感のあるメロディーを的確に表現しているのだ。
ちなみに曲名は「点と線」だが、歌詞の中には「点」も「線」も一切登場しない。だが、なぜこの曲名なのかは、星空を見上げてみればなんとなく想像がつくだろう。
今回取り上げた3曲はもちろんのこと、23年もアニソン界はとても充実していた。スペースの関係で取り上げられなかったが、宮野真守「Invincible Love」、土岐隼一「Glorious World」、福山潤「NEW DRAMA PARADISE」など男性声優陣によるアニソンもヘビーローテーションだった。24年も豊作でありますように。















