“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、今年の女芸人№1決定戦「THE W 2023」で初の決勝進出を果たした、女性では珍しいギャガーのピン芸人を紹介する――。
「THE W」では準決勝進出も初めてでしたが、新しい表現で会場を沸かし、見事に決勝にまで勝ち進んだピン芸人が「まいあんつ」という化け物です。
【プロフィル】
芸名‥まいあんつ
所属‥ワタナベエンターテインメント
本名‥古川舞
生年月日‥1989年4月3日
デビュー‥2015年10月
養成所‥ワタナベコメディスクール21期生
「THE W」の準決勝に進出しただけでも十分すごいのですが、初進出で決勝進出するのはホントにすごい! 激ムズイのです。まず吉本興業以外の芸人は、準決勝の会場「ルミネtheよしもと」に立つ機会がないので舞台に慣れていない。賞レースで初めて準決勝に進出したまいあんつさんは知名度も低いので、正直なところ応援しているお客さんも少なかった。
しかも出番順にも恵まれませんでした。ライブで最も笑いを取るのが難しいのがトップバッター、次に難しいのがお客さんの疲れが見えてくる後半になります。準決勝は3時間30分もあるので、見ている方も集中力が途切れがちです。賞レースともなるといつもより集中して見るので、後半は疲れが見えはじめるお客さんを笑わせなければなりません。
準決勝は2日間開催でしたが、まいあんつさんの出番は38組の出演者の中で、初日がトリ前の37番目で2日目はトップバッター。賞レースの出番順としては最悪と言っていいでしょう。
しかしそんなハンディをものともしませんでした。まず初日、いろいろなパターンのネタが出尽くした後、他とは全くかぶらないネタでしっかり笑いを取り、トップバッターの2日目も堂々としていていち早く笑いを取っていた。
ただ、どんなにウケても決勝進出は果たせない芸人もいます。なぜ、まいあんつさんは決勝まで行けたのか? 理由があると思います。まいあんつさんは、女芸人には珍しいギャガーで、ネタにボケ数が多く入れられるのです。女性芸人のギャガーというと、島田珠代さんぐらいじゃないでしょうか? そもそもが珍しい存在なのです。
しかもギャグの見せ方に工夫があります。ネタが始まると、まず衣装を着てコントをやるのです。普通のコントが始まったと思ったら、その中での笑わせポイントがすべてギャグになっている。ストーリーギャガーとでも言いましょうか、オリジナリティーあふれる構成と言えるでしょう。
本来、ギャグは単発のものですが、それをネタの中に入れ、会場にいるお客さんを爆笑に誘うのは並大抵のことではありません。
まいあんつさんは2015年デビューですが、翌16年には、テレビ朝日系「くりぃむナンチャラ」に出演しています。21年には日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の企画「山―1グランプリ」でネタを披露していますが、この時のネタが既にストーリーギャガーでした。おそらくその日の出演者の中で一番笑いどころの多い芸人さんだったと記憶しております。
普段はAマッソさんやフワちゃんと仲がいい。フワちゃんの楽屋にあいさつに行く前にギャグを仕込んでいたところ、偶然廊下にいたフワちゃんに動画を撮られ、アップしたものが約260万回再生を記録しています。ギャガーのまいあんつさんは短い動画と相性がいいようで、200万回再生を記録したものが何本もある。時代とちょうどマッチしているのかもしれません。
「THE W」の決勝は12月9日に行われます。優勝経験を持つゆりやんレトリィバァさん、やす子さん、ぼる塾さんなど売れっ子が出場する中、まいあんつさんの出番はAブロックの1番目。本来ならツイていないトップバッターですが、準決勝を見る限り、1ボケ目までのスピードが速くボケ数も多いので、まいあんつさんには関係ない気もします。初決勝で初優勝という快挙も期待できるのではないでしょうか。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












