直木賞作家の伊集院静さん(本名・西山忠来=にしやま・ただき)が24日、亡くなった。73歳。肝内胆管がんの治療を受けていたが、回復にいたらなかった。妻で元女優の篠ひろ子さん(本名・西山博子=75)が所属事務所を通じて発表した。なお、通夜・告別式は近親者のみで執り行う。
伊集院静さんは35歳のときに前妻(女優の夏目雅子さん)を亡くしている。「否定的な人生を送っていた」というその頃、深く交流し、傷を癒やしてくれたのは、同じく優等生的な生き方をしていない男の友人だったという。かつて取材では「男の友情」についてこう話していた。
「友情は自分自身の生き方を変えてくれる。人の見方を変えてくれるんだ。男が外へ出たときに世の中捨てたもんじゃないぞって思えるのは、友情というものを知ったときなんだ。それを知った瞬間に生きるってことは悪くないじゃないかと気付く」
「そもそも、男と男の友情は恋愛より格が上。さらにいうと、セックスより格が上なのが友情なんだ。セックスの余韻は割と早く冷めるけど、友情の余韻は消えることがない」
「(友を探すのは)難しいことじゃない。電車に乗って、東スポをわきに抱えてるとね。『おお、こいつ、俺と同じ人間なんだ』って思うのと一緒」
「ひとつ言えるのは、自分だけ儲けようとしていないやつ、自分のためだけに生きていない人間は大切にした方がいい。大人になるのは自分のためだけに生きないってことだから」
こんな思いを、自伝的小説「愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない」に込めたと話してくれた。そのときは、ベストセラー「大人の流儀」の第4弾「許す力」を発売したときでもあった。
「今度のエッセイで『許す』をテーマに書いてくれと最初に編集部から言われたとき、悪いけど俺は許さない人間だから書けないって言ったの。でも、その後、いろいろな人に話を聞いたり、100人の女に『許せないこと、許せない人がいるか』というアンケートも取ってみた。そうしたら、驚くことに『ある』『いる』が90人もいた」
「そんなに多いのかと思ったね。つまり、許せないことは水や空気のようにあふれている。でも、口にすると、それだけで自分が小さい人間に思われてしまう。あと、考えるとウジウジしちゃうから考えたくないという人が多かった。じゃ、どうすればいいか。そんなことでみんなが悩んでるんだったら結論はひとつしかない。許さなくていいんだよ」
そう断じた伊集院さんはこうも語っている。
「俺がそういうことを言ったら、みんな『許さなくていいと思うと、たいしたことじゃなかったような気がしてきた』とか『気分が晴れて、やれそうな感じがしてきた』と。許すということが生きる力になることもあるんだな。許せないことはトランプのババみたいなもの。早く取らなきゃいけないと思うからつらくなる。そんなもの、じきに誰かがとってくれるんだよ」













