まさかの幕切れだ。大相撲九州場所8日目(19日、福岡国際センター)、大関貴景勝(27=常盤山)が大関経験者で途中出場した幕内朝乃山(29=高砂)の下手投げに屈して痛恨の3敗目(5勝)。今場所での綱取りは絶望的な状況となった。注目の一番の勝負の分かれ目は、どこにあったのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)が徹底分析した。
貴景勝が痛恨の黒星だ。得意の突き押しで攻め込もうとするが、なかなか前に出られない。土俵際で朝乃山の下手投げに屈して土俵下まで転落した。取組後は「明日頑張るだけ」と声を絞り出した。綱取りには好成績での連覇が求められた中、絶望的な3敗目。審判部副部長の粂川親方(元小結琴稲妻)は「上(横綱)というのはもう、ちょっと厳しいんじゃないですか。平幕に3敗。内容が悪い」との見解を示した。
一方の朝乃山は元大関の実力を発揮した。場所前に左ふくらはぎを痛めた影響で初日から休場。十分な稽古を積むことができないまま、中日からの途中出場に踏み切った。「土俵に立てば、ケガは言い訳にできない。出場したからには、勝ち越しが厳しくても白星を積み重ねて番付が下がるのを少しでも止めたい。来場所以降のためにも、いい相撲を取っていきたい」と後半へ意気込んだ。
注目の一番で、両力士の明暗を分けたものは何だったのか。まず、秀ノ山親方は勝った朝乃山について「貴景勝の突き押しに対して、しっかり下から相手のヒジをはね上げていた。出足がある相手にあの相撲が取れていれば、相撲勘の部分では問題ない。何よりも、休んでいた時期(6場所出場停止)を取り返そうとする覚悟を感じる。優勝を争う力士にとっても、朝乃山との対戦がカギになるのでは」と分析した。
一方で、貴景勝の相撲はどう映ったのか。秀ノ山親方は「力士の心理として、休場明けの相手とやるのは嫌なもの。貴景勝は相手の状態が分からない中で、見ていってしまったところがある。相手に合わせてしまい、足が出ていなかった」と指摘する。まだ優勝の可能性は残されているだけに「横綱を目指す上では、厳しい経験も必要。これで気持ちを切らすのではなく、最後まで自分の相撲を取り切ってほしい」と奮起を促した。
貴景勝は、ここから看板力士としての意地を見せることができるのか。綱取りを来場所以降につなげていく戦いは、まだ終わっていない。












