九州から世界へ――。自転車トラック競技の2024年パリ五輪の出場枠をめぐる戦いが2月23日にインドネシア・ジャカルタで開幕する「ネーションズカップ第1戦」から本格的にスタート。九州地区の競輪選手では男子短距離に山崎賢人(30=チーム楽天Kドリームス/JPCU長崎)が期待を集めている。

 サイクルドリームをつかむ時だ。山崎は、日大在学時の2013年12月に立川競輪場で行われたKEIRINグランプリを金網越しに観戦して一念発起。バレーボールで培った身体能力を生かし自転車未経験から競輪選手になると、飛ぶ鳥を落とす勢いで輪界トップクラスへ駆け上がり、ナショナルチームには2019年末に合流した。

底知れぬパワーを持つ山崎賢人
底知れぬパワーを持つ山崎賢人

「脇本(雄太)さん、新田(祐大)さんたちが活躍していて背中を追いかける感じで始まった」が、東京五輪が終わって彼らは卒業し、今では短距離男子のチーム最年長。世界トップクラスの環境のもとで「力がついたのを感じながら日々練習しています」。

 昨年は6月のアジア選手権(インド)スプリントで1位となったが、総じて見れば不本意だったか。「コツコツできたかな、という部分もあったが、世界選手権(10月フランス)で結果が結びつかなかった(スプリント23位、ケイリン13位タイ)」と悔しさが残った。

 世界の強豪との差は何か? と尋ねると「一瞬のスピードは足りない。一瞬で展開をつくられて置いていかれているので、そういう意味でまだまだ差がある」。しかし、負けてばかりでもない。

「自分が仕掛けて前の方でレースをつくった時はいい勝負ができている。展開がつくれるようになってきたし早めでも仕掛けて、という自信はついた」

 山崎を指導してきたジェィソン・ニブレットヘッドコーチ(40)も「パフォーマンスを出さないといけない時は有言実行でやってくれる。世界のトップ選手と十分戦える能力はある」とポテンシャルの高さを認めている。

 パリ五輪への戦いも本格的に始まり、チームのムードも盛り上がってきた。「良くも悪くも刺激し合えています。年齢もそんなに変わらないから距離も近い」と歓迎しつつも「チーム内でも競争が出てくるので…」と表情を引き締めた。

 出場に向けては個人種目のケイリンとスプリントで五輪ランキングを上位へ上げることがすべてだ。

「自分の力を出し切らないと結果もついてこない。(五輪出場の)枠は取れても、どの種目に誰を出すか(チームの方針)は決まっていない。ただ、結果を出さないと選ばれない」

 ここが正念場だ。アフロヘアーの九州男児が底知れぬパワーを大爆発させる。