今回は特別編として、2022年に注目を集めたアニソン3曲をピックアップ。1年を振り返ると、やはりアニソン分野でもAdoや米津玄師、Official髭男dismなどの活躍が圧倒的に目立ったが、そのあたりはおなじみの〝ヒット曲〟でもあるので、アニメファン以外は見過ごしがちな楽曲にスポットを当ててみたい。

 まずは10~12月期放送アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」のオープニングテーマ「青春コンプレックス」から。アーティスト名義は〝結束バンド〟。同アニメは女子高校生4人が結成したアマチュアロックバンドを主人公としたもので、結束バンドはそのバンド名だ。歌っているのはバンドのボーカリスト・喜多郁代の声を演じる声優・長谷川育美。4ピースのバンドサウンドが繰り出す勢いのあるビートに乗せて、はつらつとした歌声を聴かせてくれる。

「ぼっち・ざ・ろっく!」は「まんがタイムきららMAX」(芳文社)に連載中の4コマ漫画が原作だが、それなりに人気の漫画だったとはいえ、アニメ化されたら過熱気味ともいえる大ブレークを果たした。ギターピックが付録に付いた同誌1月号は発売と同時に完売し、メルカリなどでは法外な値段で大量に出品されているほどだ。

 女子高校生バンドのアニメといえば09~10年に放送された大ヒット作品「けいおん」(これも姉妹誌の「まんがタイムきらら」連載だった)を思い出す。時代が1周回って、〝放課後ティータイム〟(「けいおん!」に登場するバンド)の正統な後継者として、結束バンドが世に降臨した、という感じだろうか。

 続いては4~6月期アニメ「恋は世界征服のあとで」オープニング曲、「恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)」。歌うはオーイシマサヨシ、タイトルにあるように田村ゆかりがデュエット相手として起用されている。

「恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)」のジャケット
「恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)」のジャケット

 正義のヒーローと悪の組織の幹部が恋に落ちるという、一筋縄ではいかないユニークなラブコメだったが、その世界観を番組冒頭から盛り上げてくれる要素として、同曲はもう完璧と言うしかない完成度。オーイシマサヨシは作詞・作曲・編曲全てを大石昌良名義で手掛けているが、爆発的な恋愛感情を巧みに表現した歌詞、サビで痒いところのさらに上まで手が届くメロディーのとんでもない高揚感、そしてそれらを効果的に表現する華やかなアレンジと、職人芸とはまさにこのことである。

 もちろんシンガーとしてもオーイシマサヨシの歌唱力には定評があるが、ここに田村ゆかりを担ぎ出したところが凄い。あの声、あの歌い回し、田村ゆかりでなければ出せない魅力だ。単なる話題作りのためのデュエットではなく、楽曲のレベルを極限まで高めるための田村起用。それはアレンジャー・大石昌良にとって絶対に外せない編曲の一部だったのだろう。これぞアニソン。Jポップではない、見事なアニソン。

 最後は10~12月期の超話題作「チェンソーマン」から。作品自体は説明不要の大ヒット漫画が原作のアニメだ。オープニング曲は米津玄師が担当したが、エンディングは全12話を12組の全て異なるアーティストが担当したことも注目された。

Vaundy「CHAINSAW BLOOD」のジャケット
Vaundy「CHAINSAW BLOOD」のジャケット

 その第1話で起用されたのが、Vaundyの「CHAINSAW BLOOD」。この曲が放送時に流れたときのインパクトは強烈だった。Vaundyの曲と聞いて頭に思い浮かぶいくつかのヒット曲とは全く傾向が異なる、アニメに特化したハードでエッジの立ったロックなのだ。

「踊り子」とか「置き手紙」しか知らない人なら驚くような楽曲。たとえるならAC/DCとかガンズ・アンド・ローゼズなどのハードロック、ヘビーメタル系のサウンド。幅広い音楽性も魅力のVaundyとはいえ、ここでこの引き出しを開けてくるかという気合の入り方である。ちなみにこの曲のMVも、凄まじい迫力のバイオレンス要素に満ちているので、ぜひご覧あれ。

 本コラム、普段は基本的に1995~2020年の四半世紀にリリースされたアニソンを取り上げているが、近年もこのジャンルは極めて豊作。次の四半世紀も充実した25年間になりそうだ。