大ヒットの任侠ビデオ映画「日本統一」シリーズは来年で10周年を迎える。ビデオ映画とは、劇場公開やテレビ放送を前提としないレンタルビデオ専用の映画のこと。「日本統一」は「ミナミの帝王」の全60作に迫る54作だ。その成功の秘訣に関して著書「『日本統一』はなぜ成功したか? エグゼクティブ・プロデューサー鈴木祐介が初めて明かす、モンスターコンテンツの育て方」(ブックマン)を刊行した鈴木氏はこう語る。

「私自身に力があるわけではなく、みなさんに助けていただいて作品を作っています。プロデューサーの私の責務は制作と販売の間を調整したり、頑張っているスタッフ、役者の才能を発揮しやすい環境を整えて、長所を伸ばすことだと考えています。大手事務所の役者を起用する代わりに、同じ事務所の売り出し中の役者を出演させるといった〝バーター〟はしません。役に合った俳優をキャスティングするようにしています」

 ダブル主演の1人である本宮泰風から「計算のできる変態です」と評されている鈴木氏は、ヤクザ映画の内容に関しても革命を起こした。「映画は娯楽ですから、暴力や濡れ場など、そんなことなくても表現できるはずだと感じました。映画を買い付けたりしていますので、海外の映画祭、マーケットを意識してきました」と鈴木氏。

 濡れ場、暴力シーンを除くことに対して、批判もあったが、新しい観客が開拓された。「もともとは他人の男同士が同じ組織に入って、命をかけて守るというドラマは究極のボーイズラブです。アイドルファンのような女性客が増えました」(同)

 斜陽のビデオ映画から配信への展開を絶妙なタイミングで行ったのも勝因だ。

 鈴木氏は「シリーズが続くと売り上げは落ちてきます。レンタルビデオ店舗も減りました。でも、本宮さんのもう少し続けたいという熱意を受け止めて、時代が配信に変わるタイミングで、配信の作りに変えて行きました。本宮さんには、プロデューサーのポストに就いていただきました。頑張っている人は見放さずに、現場の声に耳を傾けることも本宮さんと共通の認識です。既成概念に固執せずに挑戦し続けていけば、100作はそう遠くないと思います」と話す。

 ちなみにキリンビールの営業部長から50代半ばに俳優に転じた山田直樹のスクリーンデビューは「劇場版 山崎一門~日本統一~」だった。

「大物俳優の本宮泰風さんに堂々と対峙している姿が映った時はしびれました。しかも大スクリーンです。立ち上がって周りの人に『あれ、俺です!』って言いたくなりました。撮影現場では、『刑事役の山田直樹さんです』と紹介され、拍手で迎えられて、主演でプロデューサーの本宮泰風さんが笑顔で迎えてくださいました。最高の現場でした」と回想した。