政府は全国旅行支援を年内は12月27日宿泊分まで延長することを発表したが、旅行業界からは不満の声も出ている。発表によると、年明け後も割引率を現在の40%から20%に引き下げて継続するとのこと。割引上限は交通手段付きが5000円、宿泊のみと日帰り旅行が3000円に引き下げられ、地域クーポンは原則電子クーポンのみで平日2000円、休日1000円となる。

 東京都旅行業協会会長で飛鳥旅行社長の村山吉三郎氏は、今後の予約見通しについて「当初、全国旅行支援は12月20日までだったので、多くの人がそのつもりですでに旅行の予定を組んでいるし、旅行業者もそのつもりで準備してきた。このタイミングで延長しても、旅行客がどれほど伸びるか…」と浮かない顔。その上で「最初から12月27日までと発表してほしかった」と政府に注文をつけた。

 急な延長発表には、ほかの旅行業界関係者からも不満が漏れる。都内の旅行代理店関係者は「12月21~27日の既存予約のお客さんに、全国旅行支援を適用するかの確認連絡を取る余計な手間が増える。年明け後の開始時期も発表になっていないので、早く決めてくれないと同じ手間が増えるだけだ」と、現場の実情を無視した政府の決定に憤った。旅行業者にも利用者にもうれしいはずの全国旅行支援だが、あまりの“突貫事業”ぶりに多くの人が振り回されている。企業の出張族からも、「いつものホテルの宿泊費が高くなるだけだから全国旅行支援マジでやめてほしい」「便乗値上げで宿泊費を会社規定の上限額を超えないようにするのが大変だ」といった悲鳴がネットでは上がっている。

 前出の村山氏は「クリスマス期間は当初の旅行予定とは関係なく、全国旅行支援の延長で新規ホテル利用客が増える可能性は高い」と指摘。ますます出張族を悩ませることになりそうだ。