取手競輪のFⅡ「東京スポーツ杯」が11月16日、開幕する。初日の12R特選に出場する輪史に名を残すマーク屋・渡辺晴智(49=静岡)は厳格なスタイルを貫いてきた古武士のような男だ。

 しかし、13日にオッズパークのライブ中継に出演した佐藤慎太郎(46=福島)が「ハルトモさんがいたずら電話をかけてくるんだよ」と共演していた晴智の甥である渡辺雄太(27=静岡)に暴露する事案が起きていた。

 まさか…。職人の道を突き進む男が…。例えば山奥に棲む陶芸家が夜な夜ないたずら電話をかけるシーンなど、決して思い浮かばない。雄太の返事はというと。

「そういうとこ、あります(笑い)」

 まさかの実態が明かされ、競輪界に衝撃が走った。その件に関する真相は「確かに『シンタロウ! シンタロウ!』ってスピーカーにして言っていて、つながっているか分からなくて、ずっと呼んでたことはある。しっかし、あの野郎!」(晴智)。ミスの面もあったようだが「いたずらは好きなんです」と笑った。

 ただし、隠してきた。「若いころはみなさんに迷惑かけてすみません」。マーク屋としての厳しさを維持するため、報道陣に柔らかい一面は見せずに来た。当時の静岡は道を極めんとするマーク屋たちがしのぎを削っていた。

「村本大輔(引退=77期)や、望月永悟(45=静岡)たちとね。オレが負けたら大輔と永悟がナメられる。だから、絶対に負けられなかった。大輔と永悟もそういう気持ちだったと思う。静岡の伝統、っていうのかね」

 戦友、仲間と共有する誇りを傷つけないように、必死だった。10月、地区的には敵だったが最大の戦友と言える同期の村上義弘さんが引退した。その引退に寄せたメッセージで「村上は灰になる前に辞めたけど、俺は灰になるまでやるよ」と話した。

 真っ赤な瞳で話した言葉。「灰になるまでやるよ」。競輪の奥底にある人間の戦いそのものを、ハルトモはこれからも見せ続ける。