◇上條嘉嗣(32)大阪支部102期
2017年後期にA2級に昇格してから11期、約5年半の間〝現状維持〟が続いていたが、31日に級別審査期間が終了する2023年前期勝率は6・35で初のA1昇格を濃厚にしている。
初の最上位を目前にしても浮ついた気持ちは一切ない。淡々とした語り口で、こう話す。
「うれしいとかそんなこともないし、A1になってどうのこうのは全く考えてない。とにかく目の前に一戦に集中して頑張ることしか考えてないんですよ。A1を目指してないと言ったらウソになるけど、まだ自分にはそこまでの地力がついていない」
デビューから14年間でフライングの数は19。スタート事故がここまで出世を阻んできた印象も強い。今年も6月のびわこでFを切り、決して順調ではなかった。9月の鳴門では「予選トップ通過したのに準優で逃げられなかった。これまで何度かA1に上がれそうだったのに勝負駆けで失敗したこともあるし、焦って結果を求めてもいいことはない」と冷静に自己分析している。
強豪揃いの大阪支部。先輩の背中を見ながら上を目指す一方で才気あふれる後輩の突き上げも感じている。SG常連クラスの立ち居振る舞いを見て育ってきたのは強みでもある。
「後輩を含めて焦ってA1になった選手なんか大阪支部にはおらんからね。だから自分もしっかり地力をつけてからならんとアカンでしょう」という確固たる思いが根底にある。
キャリアハイとなる勝率をマークした好調要因は「いいエンジンを引かせてもらってるのが大きい」と冷静に振り返る。5月の地元GWシリーズで優出。記念級が揃うオール大阪で初めて優勝戦に駒を進めた。それも「エンジンが良かっただけ」と淡々と振り返る。
デビューしてから、ここまでの航跡を改めて振り返れば通算25優出で2V。そのうち優勝戦で1号艇だったのは2回目の優勝を飾った2019年3月の児島だけ。このあたりが何度も繰り返して言葉にした「地力」の有無なのだろう。
ハイレベルな大阪支部で王道を走ってきた先輩レーサーの戦う姿を見続けてきた。だからこそ自信の裏付けがない初のA1昇格は満足できるものはないのだろう。
11期連続A2級で戦い続けた遅咲きの苦労人。A1昇格を果たしたことでGⅠへのあっ旋も出てくる。高いレベルの舞台での経験を積むことで地力強化への道筋は開けるはずだ。
☆かみじょう・よしつぐ 1989年12月12日生まれ。大阪府出身。大阪支部所属の102期生。2008年6月、児島でデビュー。翌年2月の鳴門で初白星を飾る。初Vは2017年のとこなめ。通算2V。父は2020年11月に引退した上條信一さん。110期の上條暢嵩は弟。同期には河合佑樹、桑原悠、山田康二、遠藤エミ、上野真之介、前田将太ら。












