安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の半生に迫ったフィクション映画「REVOLUTION+1」が27日午後、安倍氏の国葬スタートと同時に東京・渋谷で上映された。

 前日の初上映イベントに続き、多くの報道陣が集まった中、この日も司会を務めたのは、映画を企画した脚本家の井上淳一氏(57)。安倍氏の銃撃事件後、足立正生監督へ電話すれば、映画製作への思いは同じだったという。それでも「こんなすぐに、この山上の映画を作ろうと思ってなかった」と井上氏は、足立監督に連絡する30分前まで電話をしていた女性記者のグチに背中を押され、製作を決めたことを明かした。

 当時はまだどこも、事件と関わりある背後団体が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と出せず、「特定の宗教団体」としていた。記者は電話口で井上氏に「もうひどい!」と、書けないことがあるのを嘆いていたそう。こんな事情を明かし、井上氏は「この映画の真の企画者だと思うんです!」と、取材に来ていたその記者を名指しで紹介した。

「あなたのひと言がこういうことになってますよ!」と呼び掛けられた記者は「井上さんヒドくないですか? なんというむちゃぶりを…」と苦笑しきり。事件後に報道が制限されていた当時の心境を交え、井上氏を動かした経緯を明かした。

「安倍さんのことは(各社の報道で)ものすごいエモーショナルに書かれている一方で、山上容疑者のことはすごい淡々と事実が出てくる中で、なんか、ホントにちょっと、う~ん、そうですね、やっぱり山上容疑者のほうにすごい感情移入してしまって…。『いま報道ができないのであれば、これは映画の仕事じゃないですか?』っていう偉そうなことを、井上さんに言ってしまいました。すいません。ホントにでもまさか映画になるとは思っていませんでした」

 この様子はオンラインでも配信され、井上氏は「あのたき付けがなかったら…」と記者に感謝しきりだった。