「本当に苦しい思いをさせてしまった。暑い中でかわいそうだった」。河本千奈ちゃん(3)が通園バスに約5時間取り残され死亡した認定こども園「川崎幼稚園」(静岡県牧之原市)の増田立義理事長兼園長(73)は7日の記者会見で、頭を下げて謝罪した。本来の運転手の代わりに運転した自身の確認ミスを原因に挙げ、理由については「不慣れだった」などと釈明した。昨年、福岡県でも同様の悲劇があったが、防げないものなのか。海外では人的ミスがあることを前提に、車に“置き去り防止機能”を搭載している。
昨夏、福岡県中間市で保育園の通園バスに置き去りにされた園児が亡くなった事件を受け、国は「保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部における安全管理の徹底について」という通知を出した。送迎バスを運行する場合について「運転を担当する職員の他に子どもの対応ができる職員の同乗を求めることが望ましいこと」「子どもの乗車時及び降車時に座席や人数の確認を実施し、その内容を職員間で共有すること等に留意いただくこと」と注意喚起していた。
しかし、今回、降車人数チェック、登園管理アプリ入力、出欠チェックなどが徹底されておらず、人的ミスの積み重ねが悲劇を招いた。
バスの運転手が休んだため増田理事長が臨時で代行運転し、同乗した70代の女性職員もシルバー人材センターからの臨時の派遣だった。
職員は「降りる人数のチェックは増田理事長がすると思っていた」と言い、増田理事長は「降りる人数のチェックは女性職員がすると思っていた」と話し、2人ともチェックしていなかった。
都内の保育園園長は「リンゲルマン効果ですね。共同作業の際に『誰かがやってくれるだろう』と思ってしまい、無意識に手を抜いてしまう心理現象です。人の命を預かる仕事ですから、そんなことが起きないように、大切なことは『〇〇先生、お願いします』と名指しでお願いしないといけないんです」と語る。
しかも、普段の通園バス運転手は園児が降りた後、車内に忘れ物がないか確認していたというが、増田理事長はそれをしていなかった。ひと目で車内を見渡せるマイクロバスなのだから、バス内を少しチェックするだけで事故は防げたはずだ。
先の園長は「海外では人的ミスは必ず起きてしまうという前提で、車側に注意喚起システムを施しています。アメリカのスクールバスは停車してエンジンを切ってから数十秒たつと、車内後部にあるアラームが鳴るんです。だから、鳴る前に後ろまで行ってボタンを押さないといけない。その結果、強制的に車内全部に目を通すことになります。また、天井にセンサーがあり、エンジンを切った後、動くものがあるとドライバーのスマホにメッセージが届くようになっています」と言う。
海外でも車内に置き去りにされた乳幼児が熱中症で死亡する事例が多い。欧米ではスーパーやコンビニに車を止め、数分、子供を車内に置き去りにするだけで「虐待」と通報されるほど、子供の車内置き去りに対する意識が高い。
そのため、車内に置き去りにさせないための「CPD(チャイルド・プレゼンス・ディテクション=幼児置き去り検知機能)」が送迎バスだけでなく、一般車にも導入されはじめている。ソナーやレーダー、カメラなどが車内に動くものがあると検知し、車から警告音が鳴ったり、スマホに通知が届いたりするのだという。
もう二度と悲劇を繰り返さないために、日本でも早急な対策が急務だ。
【金子恵美氏も涙】園児置き去りを伝えた8日の情報番組「めざまし8」(フジテレビ系)で、キャスターの俳優・谷原章介がおえつしながら話す場面があった。谷原は6児の父。コメンテーターの金子恵美元衆院議員も涙顔。金子氏は園児らの心のケアを訴え、気持ちを落ち着かせた谷原は「文部科学省には、子ども(家庭)庁には、なるべくこういう事故が起きないような体制づくり、援助をしっかりしていただきたい」と締めくくった。












