“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人をご紹介。今回は、3月に養成所を卒業したばかりで、芸歴はまだ4か月ちょっとにもかかわらず、漫才の完成度が高いという姉妹コンビに迫ります。
【プロフィル】
コンビ名:梵天(ぼんてん)
所属:太田プロダクション
結成:2021年3月
養成所:太田プロエンターテインメントカレッジ東京校芸人コース19期生(22年3月卒業)
立ち位置左:薪子(姉)
立ち位置右:しおたむ(妹)
この姉妹コンビの漫才を初めて見た時に思ったのは「おそらく20年後も変わらず、このスタイルで漫才をやっているんだろうな」ということ。そう思わせるほど、すでに形が出来上がっていました。コンビを組んでから1年ちょっと、養成所を卒業してデビューしてからまだ数か月しかたっていないのに、すごくうまい。そのうまさは、漫才の導入部分ですぐに分かります。
梵天さんの漫才は、こんなやりとりでスタートします。
薪子「どうも、梵天といいます。姉と妹でやってます。よろしくお願いします」
しおたむ「お姉ちゃん、そろそろ働こっかな~」
薪子「望むとこだね」
これだけ聞くと、当たり前のようなやりとりですが、実はこの導入はすばらしい! どこがすごいのか、解説したいと思います。
ネタが始まって10秒もたっていないのに「2人は姉妹」「妹のしおたむさんはだらしない」「姉の薪子さんはしっかりもの」。この3つの情報をムリなく説明している。姉妹の関係性をボケも入れながら、自然に紹介しています。まだ知名度のないコンビがお客さんに関係性を分かってもらうのは意外と難しいのですが、梵天さんにはそれがすぐにできてしまう才能があるんです。
この関係性をベースにして、「しっかりものの姉」が「だらしない妹」を正すように話が進んでいく形は、一生モノの漫才だなと思わせられる。また2人ともすごくいい声をしている。漫才として安心して聞ける声質です。しおたむさんのゆっくりしたしゃべりに対し、薪子さんがすばやくツッコんで正していく。まだデビューしたばかりとはとても思えません。
むしろ時間がたてばたつほど味が出てくるタイプの漫才だと思うので、将来的は事務所ライブのトリを務めることもありえる。そんな期待が持てる姉妹コンビです。
姉妹でお笑いを志した理由はかなり変わっています。もともとは記者をやっていた薪子さんをしおたむさんが誘ってコンビを結成したそうです。
しおたむさんは当時、タクシー運転手として働いていましたが、無断欠勤して勤務先を飛んでしまい、保証人だった姉に「売れて罰金を返そう」と強く説得して養成所に入所しました。いま考えると、養成所に入る2人分の入学金があれば罰金は返せたような気がしますが…。
数あるお笑いの事務所の中で太田プロの養成所を選んだ理由は「入学金が一番安かったから」。あと薪子さんが、アルコ&ピースさんのファンだったことも理由の一つ。ほかに好きな芸人は、薪子さんはオードリーさん。しおたむさんはもう中学生さんだそうです。
ちなみに「梵天」というコンビ名は、人気マンガ「東京卍リベンジャーズ」に出てくる組織の名前から取りました。この姉妹はとことん趣味が合わないのですが、唯一「東京卍リベンジャーズ」を読んでいるということだけが2人に共通している趣味だったので、このマンガからコンビ名を付けました。
ただ「東京卍リベンジャーズ」は昨年4月にテレビアニメ化され、さらに映画化、舞台化もされて、梵天さんがコンビ名を付けた時に比べると、はるかに有名な大人気マンガになったため、「いま、すごく気まずいです…」とのことです。
まだ芸歴が浅くて世間ではそれほど知られていませんが、将来は女芸人№1決定戦「THE W」、さらには漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」でも活躍が期待ができるコンビだと思うので、ずっと見ていきたいと思います。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












