参院選(22日公示、7月10日投開票)に日本維新の会から比例代表で出馬する予定の、作家で元東京都知事の猪瀬直樹氏(75)が行ったセクハラと取られかねない行為が波紋を広げている。自民党が吉川赳衆院議員(40)の“パパ活”疑惑に揺れる中、野党第1党を目指す維新はチャンスだったが、“同じ穴のムジナ”になってしまっているようで…。
疑惑の行為は12日、東京・吉祥寺で行われた街頭演説会で、同じく同党から東京選挙区で出馬予定の海老沢由紀氏(48)に対して行ったもの。「大阪維新の会」のユーチューブチャンネルでライブ配信されていた映像では、猪瀬氏が海老沢氏の肩や胸に触れているように見える。映像を見た人からは「めっちゃ触ってる」「きもっ」などの声が上がっている。
セクハラと取られかねない行為について猪瀬氏は17日、自身のツイッターで「仲間を紹介する際、特に相手が異性の時は肩に手をやるなど身体を触ることには慎重になるべきだとご指摘をいただきました。確かに軽率な面がありました。十分に認識を改め、注意をして行動していきたいと思います。改革のために、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます」と謝罪の意を記した。
この件について、維新の松井一郎代表は「そういうふうに受け取られる可能性があるならやめるべきだし、猪瀬さんは応援したいという気持ちもあるんだろうけど、見ている人が気分を害するようなことは慎むべき」と苦言を呈した。ただ猪瀬氏がツイッターで謝罪していることから、「党紀委員会にかけるまでのことではない」とした。
“被害者”である海老沢氏も、火消しを図るかのように「猪瀬さんとわたしの関係では全く問題が無かったものの、猪瀬さん本人からは丁寧なご連絡がありました。胸にあたってもいないし、話題になったことにむしろ驚いたほどなのに、誠実な対応だと思います」などとツイートした。
セクハラ疑惑は最近、自民党で目立っていた。細田博之衆議院議長は、女性記者らに日常的にセクハラを行っていると「週刊文春」に報じられた。さらに吉川赳衆院議員は、18歳の女子学生に飲酒させたと「週刊ポスト」に報じられて離党したが、説明や議員辞職をしないまま雲隠れしており、国民の不信感は募るばかりだ。参院選を前に自民党が醜聞続き、立憲民主党もパッとしないだけに、野党第1党を目指す維新にとってはチャンスだが、その状況に猪瀬氏の行為は水を差しかねない。そもそも維新は、自民党に負けず劣らずセクハラ疑惑のオンパレードだった。石井章参院議員が「顔で選んでくれれば1番」と発言したり、馬場伸幸共同代表は新人女性候補の名前を言い間違えた際、「あまりにかわいいので間違えた」と話すなど軽率な発言が目立っている。永田町関係者は「だから自民党の三軍と言われるんですよ。結局、同じ穴のムジナ」とあきれ果てていた。
相次ぐ不祥事に松井氏は「公人じゃなくても、今の時代、セクハラ、パワハラはやっちゃダメ、ご法度。周りの人を不快にするような行動は緊張感をもって慎むべき」と話した。だが同党では、明石市議会議員の森勝子氏が、同党の衆院議員から「パワハラを受け、困っている」と、ツイッターで松井氏に訴えるという異例の事態も発生している。
同関係者は「セクハラの面だけが取りざたされますけど、維新は全体的にハラスメント体質。コロナ対策や政策にも、そうした体質が表れていて、いわば党全体が国民に対してハラスメント体質なんですよ。そのうえ他党の不祥事は厳しく追及するが、身内には甘くて注意だけ。これでは信頼は得られない」。
猪瀬氏の行為が、維新への追い風を逆風に変えてしまうのか?