米電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏が、ツイッター社の買収で同社と合意に達した。25日に同社が発表。世界一の資産家でフォロワー8000万人のツイッターアカウントを持つマスク氏は、買収によって、いったい何をしようというのか?
発表によると、マスク氏は1株あたり54・20ドルで株主からツイッター株をすべて買い取る。総額は約44億ドル(約5兆6000億円)で、年内の取引完了を目指す。これにより同社はマスク氏のプライベート企業となる。
世界に驚きをもって迎えられた買収構想の発覚から約10日。事態は一応の決着を見たが、マスク氏の目的ははっきりしていない。
マスク氏自身はツイッターのヘビーユーザーでもある。2018年のエープリルフールには「テスラが破綻した」とつぶやき、株価に影響を与えたこともあった。買収の目的について世間で伝えられるところでは、「言論の自由のため」とされており、ビジネス目的ではないという。株を非公開にするのも改革をやりやすくするためだというのだ。
確かにツイッター社は、ドナルド・トランプ前米大統領のアカウントを永久停止にし、新型コロナウイルスのワクチンにまつわる誤解を招く情報の削除に取り組んでもいた。「ツイッター社による言論統制」との批判もあったくらいだ。
ツイッターを利用する40代会社員は「規制が強すぎる気がするんですよね。問題のありそうな画像や内容はすぐ削除されたり、アカウントが凍結されたりする。以前は緩くてカオスなところが魅力だったんですよ。多少、自主規制がなくなってくれるといいな」とマスク氏に期待の声を寄せた。
本当にマスク氏の改革に期待していいのか? ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「洋の東西を問わず成功者はメディアを持ちたがります。批判されながらもテスラを成功させたマスク氏もツイッターというメディアを欲しがったのでしょう。著名人や権力者が利用しており、メディアとして格がある」と指摘した。
さらに、「マスク氏からするとツイッター社は、儲け方が下手に見えているはず。実際にツイッター社の財務状況はよくない。フェイスブックが大手企業の広告を入れるなどうまくやっているのに比べると、今までよくやってこれたな、というくらい。マスク氏には、言論の自由よりも功名心やビジネス目的があるのでしょう」と話した。
ただ問題は利用者にとってどうなのか、ということだ。「使いにくくなるのは嫌だ」という人は多いだろう。
「言論の自由に配慮しつつ広告主を連れてくるのではないか。テスラが広告主になることもあるかもしれません。規制は強めることになるでしょう。反社的な書き込みや犯罪を思わせる内容に制限をかけることでメディアとしての価値を上げていく。そうすれば広告主が集まり、儲かります」(井上氏)
結局は金儲けが目的で、言論の自由のためなどという“お題目”は信用ならんというわけ。「マスク氏は、ウクライナに(高速インターネット通信サービス)『スターリンク』を提供して話題になりました。本当に社会正義に目覚めた可能性もなきにしもあらずですが…」とも井上氏は語った。












