テレビ朝日の亀山慶二社長(63)が10日、辞任した。会社経費を私的に使うなど、社長として不適切行為が確認されたという。この日の取締役会で本人の辞任申し出を受理し決議したとテレ朝が発表。早河洋会長(78)が社長を兼任する。ただ、公表された不正使用額が社長辞任という割にはあまりに少額で、唐突なタイミングでの辞任発表だったため、関係者からはうがった声も出ている。

 テレ朝によると、亀山氏は社長就任の2019年6月以降、スポーツイベント出席や営業活動のため、会社経費で国内各地へ出張。その中で昨年11月、私的な会食やゴルフなどの費用約60万円を、業務上の関連があるよう装って経費精算していた。また、私的な贈答品代など約5万円を経費で落としたほか、執務時間中、頻繁に社用車で私的な外出をするなどもしていたという。

 亀山氏は1982年入社。元同僚は「実直で営業一筋のホープだった。『営業の三羽がらす』の1人と呼ばれていた」と振り返る。01年、テレ朝は世界水泳選手権の国内放送権の独占契約を結んだが、この立役者が当時、大手広告代理店担当の営業マンだった亀山氏。

「局アナを辞めて以来テレ朝に出てなかった古舘伊知郎を呼んできて、実況をやらせたのも亀山さん。当時、世界水泳担当の編成マンだった早河さんと大手代理店を太いパイプでつないだのも彼だよ。世界水泳をテレ朝のキラーコンテンツに育てた2人は偉くなり、早河さんは05年に専務、そして09年には社長に。亀山さんは早河さんの“かばん持ち”的存在で、当時から『自分のサラリーマン人生を早河さんに賭ける』と言っていた」(元同僚)

 それにしても、公表されたゴルフ代など経費使い込みの総額は、民放キー局の社長を辞任に追い込む額としてはあまりに少ない印象だ。

「早稲田大学時代にゴルフ部主将を務めた亀山さんは、営業時代からゴルフ接待を当たり前のようにやっていた。テレビマンにとって、プライベートと仕事の線引きなんてあやふやで大したことじゃない。この程度じゃ済まない多額の不正や、女性絡みの不適切行為があったんじゃ…なんて噂が昨年末ごろには流れていた」と元同僚は明かす。

 局側がカネより問題視したのは、調査概要で挙げている「スポーツ局長との意思疎通が欠如。同局内の指揮命令系統の混乱を招いた」部分だ。

 テレ朝は、昨年8月に東京五輪の番組スタッフが飲酒を伴う宴会を開き、うち1人が救急搬送されるなど、スポーツ局の社員らによる不祥事が相次いだため、同12月に検証委員会を設置。検証作業の中で、スポーツ局統括でもある亀山氏の経費私的使用などが判明した。局関係者が声を潜める。

「社長はプライベートで仲のいいスポーツ局の幹部や、目を掛けてるスタッフたちと、頻繁に私的な懇談をしていた。去年は五輪担当スタッフたちも呼んでいた。ところがその懇談に、スポーツ局トップの局長は一切呼ばず、局内からもクレームが上がっていた。そんな中、社長は『局長が嫌いだから呼んでないんだ』とみんなの前で公言してしまった。そんな内部告発もあって、顧問弁護士が入り、検証委員会が立ち上がり、社長の不正が暴かれた」

 ちなみに昨年8月の宴会について、「そこにいたチーフとかその辺のスタッフも、亀山さんにかわいがられていた」(同)という。

 スポーツ畑でのし上がり、最後は“刺された”格好の亀山氏だ。

 テレ朝では9日、セールスプロモーション局ソリューション推進部長(49)が経済産業省の「IT導入補助金」を不正受給したとして、詐欺容疑で逮捕されたというニュースが出たばかり(逮捕は8日)。その翌日のタイミングで社長が辞任しただけに、前出関係者は「経費の不正使用は刑事責任を問われる可能性もあり、本来なら懲戒解雇でもおかしくない。もっと大きいスキャンダルになったのを、辞任という形でうまく収めたのでは」といぶかっている。