大相撲九州場所千秋楽(25日、福岡国際センター)で初優勝した小結貴景勝(22=千賀ノ浦)勝は「オヤジ(父親)と小さいころから二人三脚でやってきたことが少し形になってよかった」と目を潤ませた。現在に至る礎は父の一哉さん(57)による「スパルタ指導」で築かれた。小学校3年生で相撲を始め、週4日は道場へ通って約6時間も特訓。それ以外の2日間は自宅周辺での坂道ダッシュなどのトレーニングに明け暮れた。

 体重を量るのが日課で、前日より減っていれば父から容赦なく叱られた。1キロのダンベルをズボンのポケットに忍ばせて体重計に乗ると「重くなりすぎてバレた」。体重を増やすためにレストランでは450グラムのハンバーグ3枚の完食を課され、泣きながら3時間以上もかけて平らげた。貴景勝は「(レストランの)看板が嫌いになった」。

 小3のころは体重30キロで徒競走では学年で一、二を争う俊足。運動会のヒーローだった。そこから毎年20キロずつ増え、小6のころには80キロを超えた。運動会での役回りは騎馬戦の騎馬役に。「何でオレが“馬”なんだ。(騎馬の)上がやりたいのに…」。すべては相撲で強くなるためだった。

 この日は一哉さんも兵庫県から駆けつけて会場で観戦。「子供の時からのことが、走馬灯のようにめぐった。本人は死に物狂いでやって、こっちも必死。二人三脚でやってきた」と目を細めた。