古い木造建築や家屋にすみつくカビ(真菌=以下カビ)が原因となって起こる夏型過敏性肺炎をご存じだろうか。病状が進行すると呼吸困難に陥ることもあるという。治療法や主な症状を内科医の佐藤留美先生に教えてもらおう。

――日本で発見された過敏性肺炎だといわれるこの病気の特徴を教えてください

 佐藤医師(以下佐藤)夏型過敏性肺炎は過敏性肺炎という病気の一つなのですが、過敏性肺炎は抗原の吸入によって引き起こされるアレルギー性の肺炎です。日本では過敏性肺炎の原因とされる抗原にはトリコスポロンというカビが最も多く、春から秋にかけて夏を中心に繁殖しやすいんです。夏場に過敏性肺炎を引き起こす頻度が高くなるため夏型過敏性肺炎という病名になっています。

 ――初期症状と病状が進行した場合の症状を教えてください

 佐藤 初期は発熱、咳、胸痛、運動すると息切れがするなどといった症状があります。病気が進行すると主に呼吸困難を引き起こします。つまり、ちょっと動いただけでもハアハア息切れがするようになるのです。

 ――専業主婦がかかることが多いと聞きましたが

 佐藤 同病気の抗原となるトリコスポロンというカビは木造建築で日当たりの悪い家の環境や家屋にすみついているんです。家の中で作業をすることがほとんどの専業主婦に多い病気といわれています。

 ――日ごろ外出しているサラリーマンは夏型過敏性肺炎になりにくかったり…

 佐藤 いいえ、外出するサラリーマンでも、もちろん同病気にかかる可能性はありますよ。

 ――人から人へ感染しますか

 佐藤 感染症ではないので人から人へうつる病気ではありません。専業主婦でもサラリーマンでも家の中にあるトリコスポロンを吸入することでアレルギー反応が起きて夏型過敏性肺炎にかかる可能性があります。これは人によって個人差があり、例えば同じ家に住んでいる家族であっても抗原を吸入して過敏性肺炎を発症する人としない人がいるんです。トリコスポロンに対して、アレルギー反応を引き起こしやすい人は過敏性肺炎を起こす可能性があります。ただ、アレルギーにも種類があるので、花粉症やアレルギー性鼻炎などといったアレルギーがあるからといって過敏性肺炎になりやすいということではありません。

 ――治療法

 佐藤 第1の治療法は、抗原回避といって抗原を避けることです。トリコスポロンは築数十年といった古い木造建築にすみつきやすいのですが、まれに過敏性肺炎にかかった方で治療のために引っ越しや住宅の建て直しをしてもらう場合があります。結局、入院して病気が治ってもトリコスポロンがすみつく家に帰ったら再発してしまうからです。

 ――予防するには

 佐藤 治療法と同じになりますが、抗原への暴露を防ぐことが大切です。居住環境の整備も大切ですがトリコスポロンは肉眼では見えないカビですので、毎日こまめに清掃したからといって建物から排除することは難しいです。

 ☆さとう・るみ 医学博士。日本内科学会認定・総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本感染症学会専門医・指導医等々。2007~11年、佐賀大学大学院で感染症の研究に携わる。20年、朝倉医師会病院呼吸器科部長に。