ロシアのウクライナ侵攻は終わるめどが立たない。ウクライナ側の激しい抵抗によって、ロシア軍が兵力不足に陥っている中、プーチン大統領が凶悪殺人鬼を兵士にスカウトしていることを欧米が批判している。

 プーチン氏は8月末、軍の総定員を来年1月から約203万9700人とする大統領令に署名した。現行に比べ13万7000人の増員となる。しかし、その兵士の中身が問題視されている。

 複数の欧米メディアは「プーチンは殺人鬼を好む」として、刑務所から兵士をリクルートし、最前線に送っていることを非難している。非政府組織「ロシア・ビハインド・バーズ」は「刑務所にいる約20%が兵士として採用されている。1300人収容の刑務所なら300人。一度に50人ほど釈放し、2週間の訓練の後、最前線に送られる。50万円と恩赦が与えられる」と明かす。

 囚人は恩赦を受け、戦争から戻ってきた後、家族と普通に生活したいという願望を持って戦地に向かう。しかし、実際は激しい最前線で戦闘を行うため、「死後に赦免される」という。

 スカウトしているのは民間軍事会社「ワグネル」。新興財閥オリガルヒの“プーチンの料理人”ことエフゲニー・プリゴジン氏が資金を出しているとされる会社で、プリゴジン氏がこの囚人スカウトプランを考案したという。「プリゴジンは個人的に刑務所を回り、兵士を探している。特に殺人者を好んでいる」と報じられている。

 実際、ロシアの独立系ニュースサイト「ザ・インサイダー」は「ギャングリーダーで5人を殺害し懲役25年となり、収監中のイヴァン・ネパラトフが最前線に送られた。ドネツクで銃撃され、34歳で亡くなったことで、プーチン大統領からメダルをもらった」と伝えている。