9月に衝撃の米国デビューを飾ったWBO世界フライ級王者の中谷潤人(23=M・T)が本紙の直撃に応じ、胸中を激白した。アリゾナ州トゥーソンで行われた初防衛戦で強敵アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)を撃破。相手の鼻骨を折っての4ラウンド(R)TKO勝利で確かな足跡を残した。今後にさらなる飛躍を予感させる中、米国ではあの二刀流のスーパースターに姿を重ねられたという。その先には「世界最速3階級制覇王者」も標的に見据えている。

 ――米国デビュー戦で相手の鼻をへし折り完勝

 中谷 V1戦で大きい舞台を用意していただいて、いい形で勝利できた。素直にうれしいですし、ホッとしています。

 ――見慣れないインファイトは米国を意識したのか

 中谷 意識したというよりは1Rにいいパンチが入ったので前にいきました。リングサイドのお客さんも「ナカタニ!」と喜んでくれたので、結果的にはよかったかな。

 ――米興行大手「トップランク」社の大会で注目された

 中谷 試合後に(同社CEOの)ボブ・アラムさんからも評価していただいて励みになったし、今後のキャリアでのモチベーションになりました。それに(米大リーグ・エンゼルスの)大谷翔平さんの存在もあって、トップランクの関係者の方に「オオタニサン」と言われましたね。

 ――どういうことか
 中谷(トップランク社の関係者から)「オオタニサンもよくヒットを打つけど、君も(パンチで)たくさんヒットを打っていたよ」と。米国で活躍されている方なので刺激になりました。

 ――トレーナーのルディ・エルナンデス氏とも久々に再会

 中谷 ルディの家でホームステイし、久々に顔を合わせて話しました。試合について僕の思っていること、ルディの思っていることが合致していて、迷いなく試合に向かえました。久々でも違和感なくいつも通り受け入れてくれて、いつも通り調整できましたよ。

 ――試合前後は何と声をかけられた

 中谷「アリゾナの観客をファンにしろ」と言われ、頑張ろうと思えましたし、試合後も「さらに上の目標に向けて頑張っていこう」と言ってくれましたね。

 ――次戦は年内を希望

 中谷 年内にできればいいスパンでやらせてもらえることになるので。まだ分からないけど、いつでもできるように、動ける態勢をつくるのが大切なことだと思っています。

 ――一方で、かねてWBC同級王者フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)との対戦を熱望

 中谷 やれればいいなという気持ちですね。でもIBF王者サニー・エドワーズ(英国)、WBA王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)ともタイミングが合えばやりたいです。欲は言わないけど、いいパフォーマンスでしっかり防衛して、上にいくために大きい試合がしたいと思っています。

 ――スーパーフライ級に階級を上げることは

 中谷 軽量級では世界的な役者がそろっている階級でもあるので、まずは名前を売らないと入っていけないと感じています。スーパーフライに参戦したら面白いと思ってもらう存在になってからのほうが盛り上がりがあると思いますし、ファンの方も楽しんでもらえると思います。

  ――スーパーフライ級で戦いたい相手は

 中谷(世界最速3階級制覇王者の)田中恒成選手(畑中)は、僕の持っているベルトの前王者ですから、そういう気持ちはあります。

 ――田中は2017年5月にアコスタに判定勝利。その意味でアコスタ戦を一つの指標としていたのか

 中谷 試合前はそこまで意識はしなかったです。でも(TKO勝利という)その部分は評価されることはあるだろうなという思いはあります。

 ――名前を売るためにも今後も米国での試合を希望か

 中谷 日本でも応援してくれる方々もいるので両方で。この先も無敗で勝ち進んで、階級も含めステージをどんどん上がっていきたいですね。