ベテラン俳優・渡辺裕之さん(享年66)が3日に急逝していたと分かり5日、芸能界に衝撃が走った。

 渡辺さんは栄養ドリンク剤「リポビタンD」の「ファイト!一発!」CMで知られ、Vシネマの常連俳優だった。警視庁の「暴力団追放三ない運動+1」にも起用中。スーツのジャケットを肩に引っ掛けた渡辺さんがニラみをきかせる暴力団追放ポスターを、都内の駅などで見掛けた人も多いはずだ。

「肉体派俳優」「コワモテ」といった言葉が似合う渡辺さんだが、プライベートでは意外な一面も。ゴルフのほか写真を撮るのが趣味で、自身のインスタグラムでは2週間ほど前まで、花や風景の写真を投稿していた。

「ご自身の古い秘蔵写真も、大切に保存している人だった」と明かすドラマ関係者が、生前の渡辺さんを偲ぶ。

「ロケ先では、自前のカメラで共演者を撮影しているのを見た。その方に後で写真をあげていた。街でファンに声を掛けられても、喜んで一緒に写真を撮る人。『カラオケで東方神起を歌える』と笑っていたりも。そんな社交性の良さとは裏腹に、大勢の友達と飲み歩いたりするより、むしろ静かな場所を好む一面があった」

 表立ったトラブルと言えば2005年、資産運用コンサルタント会社に1億2000万円預け、騙し取られたことがあった。同社は多額の負債を抱え破綻。その大金は30年近くかけて貯めたもので、妻の原には内緒で投資していた。当時の会見で渡辺さんは「定期収入のない職業で、将来の不安がありました」と、俳優業の苦悩を明かしていた。

 ただ、舞台の仕事で最近一緒になったスタッフによると、渡辺さんは多忙なスケジュールをこなし、仕事は今も順調だったそう。妻の女優・原日出子(62)とも円満で、ショッピングモールで夫婦が買い物する姿もたびたび目撃されているほどだ。「明るく気さくなイメージしかない。コロナ禍のなか、仕事や稽古ができていたことに喜んでいたのですが…」とスタッフは肩を落としていた。