「第54回ミス日本コンテスト2022」の東日本地区大会が14日、都内で行われ、本大会に出場するファイナリスト9人が決定した。1950年から開催され、女優の山本富士子、藤原紀香らを輩出した「ミス日本コンテスト」のステージは〝一変〟。水着審査なしで、「エア書道」「エア着付け」といったシュールな光景が繰り広げられたが、その背景には〝ミスコン消滅危機〟があった。

 今大会では書類審査と面接を突破した25人(うち2人は体調不良のため欠席)が、来年1月24日に開催される本選の出場権をかけ審査に臨んだ。

 前回の本大会から水着審査を廃止。今年は地区大会から水着審査を行わず、洋服とスポーツウェアによる審査となった。 大学生を中心に女優、モデル、国家公務員といった多様性のある23人がアピール。容姿だけではなく人間性も重視され、審査員からは「人に知られることなく行っている奉仕活動や心がけを教えてください」という質問も出た。

 大会委員長の和田あい氏からは〝特技〟のリクエストも。ダンス、空手、ヨガのポーズをする出場者たちだったが、「着物の着付け」を特技にするという山本紗也さん(25)には「エア着付けをしてください」。さらに、「Seventeen」元専属モデルで「仮面ライダーゼロワン」(テレビ朝日系)に出演していた成田愛純さん(19)には「エア書道をして、なんという字を書いたか教えください」とむちゃぶりリクエストが飛び出した。

 もっとも成田さんはひるむことなく〝エア書道〟を堂々と見せつけ「『日本愛』と書きました!」と笑顔。山本さんと成田さんはともにファイナリスト9人に選ばれた。

 それにしてもなぜミスコンの象徴でもあった水着審査が廃止され、エア特技を行うシュールなステージが繰り広げられたのか。

 大会終了後、和田委員長はむちゃぶりの真意について、性差別やルッキシズム(外見差別)を助長するという理由で〝ミスコン存続の危機〟にあることを明かした。

 和田委員長は「ミスコンがバッシングされる対象になるのか腑に落ちなくて。外見だけで決めておらず、内面の美、行動の美で判断して教育の場にしている」と説明。和田委員長は前大会委員長を務めた母・優子さんの娘で、就任した昨年に水着審査の廃止を決断。審査員の女性比率を増やすなど改革に着手してきた。

「その時代に合うようにアジャストして行くのが方針。もともと日本の親善大使を決めようというのが起源で、第1回大会は水着審査をやってなかったんです。今のミス日本の体制は親善大使的な要素が強いので、原点回帰ということで廃止しました」

 また、エア特技の審査方法については「しゃべっているだけだと表情がほぐれないじゃないですか。そういう所(対応力)に、その人の本質がチラっと出るかなと思います」と笑みを浮かべた。

 以前は芸能人や女子アナの登竜門とも言われてきたミスコンだが、今や外見以上に内面の美を求められる時代。芸能界や女子アナ界はいまだ外見重視の傾向もあるが、和田委員長の改革の下、歴史あるミスコンはどんな人材を輩出するか。