ついに“ラスボス”が出現したのか、それとも――。世界中に悲惨な状況をもたらしている新型コロナウイルスについて、ベトナムで新たな変異株が見つかった。現在、日本では英国型が主流で、今後、インド型に置き換わるのは時間の問題とみられているが、ベトナム型はその2つの混合変異株。菅首相やIOC(国際オリンピック委員会)は東京五輪を強行開催しようとしているが、本当にこのまま開催して大丈夫なのか!?

 これまで新型コロナウイルスにはブラジル型や南アフリカ型、英国型が猛威を振るっているところにインド型が出現していた。このベトナム型は変異株同士の悪い特徴を併せ持った「混合変異株」だというから穏やかではない。

 作家でタレントの乙武洋匡氏(45)はツイッターで「おいおい、ラスボス登場かよ」と、英国型とインド型の混合変異株であるベトナム型が見つかったニュースに反応。“ヒゲの隊長”こと佐藤正久参院議員(60)も「新たな変異、予想はされてはいたがベトナム政府が敢えて発表ということは、他の東南アジア諸国でも同じ事が起きている可能性も」とツイートして懸念を表明した。

 いったい、ベトナム型とはどんな性質を持っているのか? 防災・危機管理アドバイザーであり医学博士の古本尚樹氏はこう解説する。

「ベトナム型は英国型とインド型の危険な部分を足し合わせたようなもの。今後、日本で主流になるインド型の感染力は従来型の2倍以上で若い世代の重症化リスクも高まっているが、ベトナム型はそれ以上に危険。ウイルスの増殖スピードがかなり速いと報告されており、より感染力が強く治癒しづらくなることが予想される」

 ベトナムの保健省も「これまでのウイルスより空気中での感染力がはるかに強く、感染から2日ほどで発症する可能性もある」と指摘しており、今後、全世界の流行の主流がベトナム型に置き換われば、今以上に重症者病床が逼迫して、命の選別が行われる悲惨な状況になるだろう。

 となれば、あながち乙武氏の“ラスボス発言”も言い過ぎではないかもしれないが、古本氏はもっと悲惨な状況を危惧している。

「新型コロナウイルスの最大の特徴は、変異するたびに毒性を増していること。通常のウイルスは、自らが生き残るため宿主を殺さないように変異しながら弱毒化するのが一般的だが、新型コロナウイルスはその逆の進化を続けている。変異スピードも特異で、このまま変異を繰り返せば必ず既存のワクチンを無力化する新型変異株が出現することになる」

 つまり、本当の“ラスボス”はワクチンを無効化する新型変異株が出現した時というわけだ。

 現在、日本国内では高齢者のワクチン接種が行われているが、不手際で政府が掲げる7月末までの2回接種完了のめどは立っていない。それどころか、インド型の重症化リスクが高いといわれる若い世代のワクチン接種は、まだまだ先になることが予想されている。

 そこへきて7月23日にはIOCと菅政権が強行開催する東京五輪の開幕だ。東京五輪が始まれば日本のいたるところに3密が形成され、渋谷スクランブル交差点やセンター街などはワクチン未接種の“パリピ”であふれ返ることは必至だ。

 五輪時には選手だけでなく、IOC関係者や外国メディアが多く来日する。行動制限されるというが、どこまで効力があるかは疑問で、嫌な言い方をすれば、日本を舞台にした“変異株見本市”になってしまいかねないのだ。

 それだけではない。27日に日本外国特派員協会で会見した全国医師ユニオンの植山直人代表は、この状況で東京五輪が強行開催されれば新型変異株の“東京五輪株”を生むリスクがあると指摘。古本氏も「東京五輪開催は新型変異株を生むリスクと、危険な新型変異株であるベトナム型が国内で流行するきっかけになってしまう」と警鐘を鳴らす。

 日本国民の多くが東京五輪開催に懐疑的な中、このタイミングで出現した新型変異株。本当にこのまま東京五輪開催に突き進んでいいのだろうか――。