超常現象を題材にした米大ヒットホラー映画「悪魔の棲む家」(1979年)のモデルとなった一家惨殺事件の犯人、ロナルド・デフェオ・ジュニア服役囚(69)が13日、死亡したことが分かった。米紙ニューヨーク・ポストが16日報じた。

 同映画は米作家ジェイ・アンソンのベストセラー「アミティヴィルの恐怖」を映画化したもの。ニューヨーク州ロングアイランド・アミティヴィルにある植民地様式の大豪邸で実際に起きた凄惨な事件とその後を描いたものだ。

 事件は74年11月13日、デフェオ家の当時23歳だった長男ロナルドが就寝中の両親と兄弟4人たちをライフル銃で次々と射殺。“われに返った”ロナルドは自ら通報し、逮捕後は「頭の中の悪霊に家族を皆殺しにするよう命じられた」と主張した。

 それから1年、育ち盛りの子供たちのために新居を探していたジョージ&キャシー・ラッツ夫妻が“訳あり物件”と知りつつ、8万ドル(当時約2440万円)という破格の安さに魅了され、問題の豪邸を購入。引っ越した当日の夜から怪奇現象が一家を襲ったというのだ。

 ラッツ夫妻は2006年、米ABCニュースの取材に、家の中で奇妙な音がしたり、夜中に突然、玄関の扉が開閉するなど恐怖体験の数々を語った。

 また、ジョージ氏は「ほぼ毎晩、夜中の3時15分に目覚めた」とし、それが一家殺人が起きたとされる同時間だったと説明した。

 ラッツ家は恐怖のあまり、入居からわずか28日で逃げるように同豪邸を後にした。それから2か月、地元テレビ局が問題の家に侵入調査し、超常現象を検証する番組を放送した。

 ABCとのインタビュー後、ほどなく亡くなったジョージ氏は「恐怖体験は事実」と訴えていたが、ポスト紙はラッツ家の恐怖体験のほとんどは今日、作家アンソンとの創作だとしている。

 地元メディアによると、ロナルド服役囚は75年に終身刑の判決を受け、同州の刑務所に収監されていた。だが先月、体調不良のため同州のアルバニー医療センターで治療を受けていた。死因は明らかになっていない。