福岡県篠栗町で昨年4月、衰弱している男児(5=当時)に十分な食事を与えず餓死させたとして、県警は2日、保護責任者遺棄致死の疑いで母親の無職・碇利恵容疑者(39)と知人の無職・赤堀恵美子容疑者(48)を逮捕した。逮捕容疑は昨年4月18日、篠栗町のマンションの一室で、翔士郎ちゃんに十分な食事を与えず放置し、死亡させた疑い。碇容疑者は容疑を認めているが、赤堀容疑者は否認している。

 あまりの凄惨さにネット上でも「おぞましい」「むごすぎる」と話題になっている今回の事件。容疑者2人の関係性は異様というほかない。碇容疑者と赤堀容疑者は数年前に知り合った「ママ友」だが、赤堀容疑者は碇容疑者を“支配下”に置いていた。捜査関係者によると、赤堀容疑者は碇容疑者に「夫が浮気している」とうそを言い、離婚訴訟や浮気調査の費用名目で生活保護費や児童手当など約200万円を詐取したとして、起訴されている。「子供が太っていたら夫との裁判で養育費や慰謝料が取れない」とも話していたという。全くの意味不明だ。

 さらに赤堀容疑者は共通の知人を架空の「ボス」と位置付け「ボスが食べ過ぎと言っている。監視カメラで見張っている」などと言い、食事量を制限。一家は赤堀容疑者が差し入れた少量の食事を分け合っていた。事件当時、一家は翔士郎ちゃんと兄2人の計4人暮らしで、全員が低栄養状態だったとみられる。赤堀容疑者は部屋を頻繁に訪問しており、県警は翔士郎ちゃんの健康状態を把握できる立場だったと判断した。

「逮捕までに1年近くかかったのは、赤堀容疑者に保護責任者遺棄致死罪が適用できるか入念に捜査していたため。赤堀容疑者は周囲に『育児放棄しているから、私が面倒を見ている』と吹聴。警察の調べに『(子供の)食事量はコントロールできない』と話しているそうだ」(テレビ関係者)

 うそを吹き込んで人を操り、周囲から孤立させ、支配して搾取する凶悪事件はたびたび起こる。そのような犯罪者はサイコパシーレベルが高いとされる。専門家は「良心や罪悪感や後悔の欠如、他人への思いやりなどがない人間は100人に1人の割合でいるといわれる。そういう悪人は獲物には非常に社交的で、それは好かれると支配しやすくなるから。罪悪感を持たないモンスターなので、うそをつくことに全力を尽くす。なぜ、そんな悪人にだまされるのかではなく、悪人は支配しやすい獲物を見定める能力が非常に高い」と話す。