詫びろ詫びろ詫びろ…詫びろ~!! ドラマ「半沢直樹」の世界なら、こんな声が聞こえてきそうな大トラブルを引き起こしたみずほ銀行の藤原弘治頭取は、2月28日に発生した大規模なシステム障害について1日、会見を開いて謝罪した。

 会見の冒頭、藤原頭取は「ご迷惑またご不便をおかけした。今回の事態を大変重く受け止め、二度と起こさないという強い決意のもと、再発防止の徹底に全力で尽くしてまいりたい」と謝罪した。

 みずほ銀行によれば、定期預金のデータ移行作業45万件と、月末の取引25万件が重なったことでシステムの一部に負担が生じ、1日午後3時に完全復旧するまで最大時で3000台のATMが正常に稼働しなくなり、キャッシュカードや預金通帳がATMに吸い込まれたまま戻らないトラブルが5244件発生。カードや通帳はいまだ利用者に戻っていないという。

 作家の高橋源一郎氏も“被害”に遭った。2月28日に「いま全国で障害発生中のみずほのATM、ぼくもカード吸いこまれたまま。電話も通じないので諦めて帰宅しました……」とツイート。フォロワーから心配する声が上がっていたが、1日には「みずほ銀行の行員さんが吸い込んだカードを届けに来られた。吸い込みカード&通帳、一軒ずつ配って回ってる模様」と無事に返却されたことを報告した。

 合併してみずほ銀行となった第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の旧3行は、それぞれ別のシステムを使用していたこともあって過去に大小のトラブルを起こしてきたが、2019年までに4000億円以上を投じて新勘定系システムを構築した。

 どうして「二度あることは三度ある」になってしまったのか? ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「日本社会のIT化が進まない理由と無関係ではない」としてこう話す。「システムを発注する日本の役所や企業に専門家がほとんどいないのが問題。企業は子会社に専門家集団を雇っているが、親会社と子会社の関係もあって子会社の意見は過小評価されがち。今回はデータ移行作業と通常の取引が重なって負担がかかったというが、どうして負担が大きくなる営業時間中に行ったのか。首をかしげざるを得ません」

 日本を代表する3大メガバンクの一角である、みずほ銀行の3度目の大規模システム障害に監督官庁である金融庁は激怒。報告徴求命令を出して原因究明のほか、顧客への対応が適切だったかについても詳しく報告を求める方針だ。