百合子さんもビックリ!? 32年の歴史を誇るテレビ東京系の経済報道番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」が、現在の平日午後11時枠から、来年4月に平日午後10時枠への移動で調整していることが本紙の取材で分かった。他局で平日午後10時枠に鎮座するのはご存じ、テレビ朝日系「報道ステーション」。ブレない独自路線をばく進するテレ東が、看板番組をあえて〝報道の雄〟にぶつけ、ガチンコバトルを挑む理由は――。

「山が動いた!!」

 1989年に社会党の土井たか子委員長(故人)が残した名ゼリフを今、テレビ局関係者たちが口にしているという。

「WBS」は、初代のメインキャスターに現東京都知事の小池百合子氏(68=当時の名は小池ユリ子)を迎え、88年に放送開始。バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災、新型コロナウイルス禍などを「経済」を切り口に伝えてきた。

 開始から32年もの間、放送枠はず~っと午後11時枠が〝指定席〟だったが、来年4月から午後10時枠への移動で調整していることが判明した。テレビ局関係者たちは永田町に伝わる、かの名言を引用して驚いている。

 テレ東の総合編成局宣伝部は本紙取材に「4月編成について、現時点で決定していることはございません」と、「現時点で」の断りを入れて回答。複数の関係者の話を総合すると調整していることは事実で、現在は「確定」ではなく「内定」の段階という。

 それにしてもなぜ「WBS」を日本テレビ系「news zero」やTBS系「NEWS23」の午後11時枠から、〝報道の雄〟に君臨する「報ステ」にあえてぶつけるのか。〝らしくない〟気もする。

 というのも、テレ東は、独自路線をばく進する局だ。NHKや民放局がこぞって国内外のビッグニュースを特番放送する時もサラッと通常運転。象徴的なのは91年1月17日の湾岸戦争開戦だった。

 他局がセンセーショナルに報道特番を展開するのを尻目に、アニメ「楽しいムーミン一家」を予定通り放送。18・7%の高視聴率をマークした。

 これ以降も、他局の特番のウラで通販番組「ジャパネットたかた」や料理番組を放送。いつしかネット上で「テレ東伝説」なるパワーワードも誕生した。

 バラエティーも秀逸で「家、ついて行ってイイですか?」は斬新な企画で、アダルト業界がパロディー作品をリリースしたほどだ。

 独自色が濃すぎるテレ東が「WBS」を「報ステ」にぶつけるのは、〝ある計算〟があるという。関係者の証言。

「『報ステ』はニュース全般を扱うのに対し『WBS』は経済中心で差別化を図れます。独自路線で勝負できる!と判断したようです」

 加えてライバルは今年、評価がガタ落ちした。「報ステ」は4月、新型コロナウイルス感染対策が緩すぎて、メインキャスターの富川悠太アナウンサーやスタッフたちが陽性となり、世間から猛批判された。

「『報ステ』の平均視聴率は15%前後で、前身の『ニュースステーション』の勢いはありません。だから、テレ東も真正面から挑もうとしているようです」(前出関係者)

 といっても、「WBS」の平均視聴率は3%前後。大きな挑戦になることに変わりない。

 来年4月からの新「WBS」のメインキャスターは、報道局の大江麻理子(42)が続投する。

 もう一人のメインキャスター、須黒清華アナ(36)は第1子を妊娠中で年明けから産休に入り、後任をすえるかは未定。「WBS」の移動に伴い、現在平日午後10時枠で放送されている5つの番組は、他の時間へのスライドで調整中という。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)