米大統領選(11月3日)まで、残り約3週間となった中、民主党のバイデン前副大統領(77)に劣勢を強いられているトランプ大統領(74)が、さらに追い打ちをかけられている。スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(17)が打倒・トランプ氏を表明すれば、盟友関係だった北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からもそっぽを向かれ始めてしまった。いよいよ崖っ縁か――。

 トランプ氏がホワイトハウスでの演説でコロナ感染から活動を再開した10日、グレタさんはツイッターに「私は決して政党政治に関わらないが、今回の米大統領選は例外だ。みんなでバイデン氏に投票するよう運動しよう」と投稿した。

 グレタさんとトランプ氏は、地球温暖化を巡って対立した因縁がある。バイデン氏は温暖化対策の枠組み「パリ協定」への復帰を打ち出しているとあって、グレタさんが応援するのは自然の流れともいえるが…。

 米人気歌手のテイラー・スウィフトも先週、バイデン氏支持を表明。米国ではハリウッドスターや有名ミュージシャン、セレブらが、どちらかの候補の支持を表明するのは恒例だが、グレタさんという投票権を持たない、国外の“環境少女”からの声明は即座に全世界へ配信された。一定の影響力があるだけにトランプ氏からすれば、してやられた格好だ。

 さらにもう1人、この平和賞やトランプ氏の劣勢状況のタイミングをうかがっていたとみられるのが、北朝鮮の金正恩氏だ。10日に行われた平壌での軍事パレードで新型の大型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を初公開したことに、米政府高官は「北朝鮮が核や弾道ミサイル開発を優先し続けていることに失望している。北朝鮮に完全な非核化に向けた協議継続を呼びかける」と非難した。

 元韓国国防省北朝鮮分析官で拓殖大学主任研究員の高永テツ氏は「2017年に公開したICBMは飛距離約1万2000キロなのに対し、今回はトレーラーの車輪が9から11に増えているように弾頭の積載能力も大型化し、飛距離も1万6000キロに伸びた。米にとって脅威です」と指摘する。

 しかし正恩氏とトランプ氏は盟友関係ではなかったのか? トランプ氏が新型コロナに感染した際、正恩氏は「あなたは必ず打ち勝つ」と異例とも言える見舞いの電報も送ったほどだ。

 高氏はこう指摘する。

「金正恩からすれば、トランプ大統領に再選してもらいたい。応援するのならば、新型ICBMを公開する必要はなかったが、民主党のバイデン大統領が誕生すれば、北朝鮮には再び軍事行動も含めた厳しい姿勢を取る可能性があるので、威嚇する側面もあったのでしょう」

 つまり正恩氏からも、“トランプ氏再選”という可能性が消えつつある状況をシビアに見せられたともいえる。

「パレードの開始は明るい時間ではなく異例の午前0時。前後してミサイルの発射実験などは行わなかったのは、金正恩がまだトランプ大統領のメンツを立たせるギリギリの配慮だったのでは」

 そんな正恩氏の気配りもつゆ知らず、トランプ氏は「裏切られた!」とばかりに北朝鮮への電撃作戦にでも出れば、支持率を回復させる新たな“オクトーバー・サプライズ”にもなるが?

「トランプ大統領は北朝鮮を親米国家にして、中国から切り離したい。さすがに大統領選までの残された短期間で、空爆や軍事作戦の可能性は低いでしょう」

 トランプ氏に打つ手はもうないのか――。