韓国、中国、フランスの映画界にも三浦春馬さん(享年30)の早過ぎる死に大きな衝撃が走っていた。映画関係者の間では「三浦さんの評価は日本より海外で認められていた」というからだ。特に多くのファンがいたといわれるのが韓国。6年前の「第19回釜山国際映画祭」を取材した映画ライターが、その熱狂的な歓迎ぶりを本紙に明かした。

 三浦さんの葬儀について所属事務所のアミューズは20日、密葬という形で、すでに済ませたことをホームページで明かした。

「葬儀につきましては、ご親族の方とも相談の上、すでに密葬というかたちで執り行わせていただきました」

さらに「これまでお世話になりました関係者の皆さま、応援してくださったファンの皆さまにつきましては、新型コロナウイルスの感染予防にも配慮した上 で時期を考慮し、お別れできる機会を別途、設けさせていただければと考えております」と記載されている。

 18日に三浦さんの訃報が伝えられて以来、日本ではトップニュースとして報じられ続けているが、海外でも同様だ。韓国や中国など、アジア圏も大きな悲しみに包まれた。

 日本の映画やドラマが数多く上映されている韓国でも、三浦さんの人気は非常に高かった。過去には何度か訪れたことがあるからなおさらだ。

 毎年秋に釜山で開催される「釜山国際映画祭」には、2007年と14年に2度出席した。14年は、行定勲監督の日中合作映画「真夜中の五分前」で同地を訪れている。

 この時、現地で取材した映画ライターの石津文子氏はその時の様子を今でもはっきりと覚えているという。

「韓国では、三浦さんが出演した『恋空』や『君に届け』といった映画が、すごい人気だった。14年の映画祭で『真夜中の五分前』が上映された際には、5000人の観客が詰め掛けたんですが、中には横断幕やポスターを持って待つ熱心なファンもいました。三浦さんはそのあまりの熱気に照れつつも、心からうれしそうだった」

 この作品はすべて中国・上海でロケが行われた。三浦さんは中国語を熱心に勉強、吹き替えなしで見事に中国語をこなしている。

 映画祭では、相手役である中国の人気女優リウ・シーシー、台湾の人気俳優ジョセフ・チャン、行定監督とトークショーも行い、ここでも大歓声を浴びていた。

「この場で三浦さんはとても明るく前向きで、海外進出に対してすごく意欲を見せていた。その後、ロンドンに語学留学を果たしたのも、その強い思いの表れだろう」(石津氏)

 オール上海ロケだけに、同映画は中国でも公開され好評を博した。三浦さんの死のニュースに、中国でも大きな驚きと悲しみに包まれたという。

 また、韓国で昨年夏に開催された「ソウルドラマアワード」で三浦さんは、アジアスター賞を受賞している。

 アジアだけでなく欧米でも三浦さんの自死は大きく報じられた。

 米ハリウッド・リポーター誌、バラエティー誌、英インディペンデント紙、仏フィガロ紙など有名メディアが訃報をツイッターなどで報じると、その才能を惜しむ声がSNSに数多く寄せられた。

 欧米でも三浦さんの訃報が大きく報じられたのは、代表作である「進撃の巨人」の影響が大きい。

 日本では前後編2部作として15年に公開された同映画は、海外でも「ATTACK ON TITAN」とのタイトルで数多くの国で上映されている。

 石津氏は「『進撃の巨人』の原作は、諫山創さんによる日本の少年マンガですが、この原作の人気が特に高いのがフランス。世界最高峰の『カンヌ国際映画祭』やアニメ映画の祭典『アヌシー国際アニメーション映画祭』を開催していることからも分かるように、映画熱が非常に高い国だから、三浦さんの死も大きく報道された」と指摘する。

 また米人気ドラマ「glee」に主演し、三浦さんとは日本でコンサートで共演したことがあるミュージカルスターのマシュー・モリソンも「伝説的なパフォーマーで友人」と、インスタのストーリーで哀悼の意を示した。

 将来はハリウッド進出を見据え、世界への切符を手にしかかっていた三浦さん。その姿は世界中のファンの記憶に永遠に刻まれることだろう。