「ヒゲダン」「BiSH」を“発掘”したローカル音楽番組のこだわり

2019年11月30日 11時00分

BomberEの司会を務める(左から)MICRO、戸松遥、望木聡子アナウンサー

 名古屋発の音楽番組「BomberE」(メ~テレ・毎週火曜深夜24時51分~)が注目を集めている。「Official髭男dism」や「Bish」など今年話題になったアーティストをブレーク前から名古屋に呼んでライブを放送。名古屋ローカルにとどまらずCSやユーチューブでスタジオライブの模様を全国に発信して大きな話題を呼んだ。ローカル局としては異例ともいうべきライブにこだわった番組作りの理由とは――。

「BomberE」がスタートしたのは2005年4月。開始当初は月1回の放送だったが13年10月からは毎週放送のレギュラー番組となっている。現在はヒップホップグループ「HOME MADE 家族」のMICRO、人気声優の戸松遥、メ~テレの望木聡子アナウンサーが司会を務める。

 15年目に突入した番組が最も大事にしているコンセプトが「視聴者にアーティストのライブを届ける」ということだ。アーティストに名古屋まで来てもらい、メ~テレのスタジオで収録したライブを放送するというのが番組の基本構成。ライブ番組を収録、放送するためには複数のテレビカメラ(この番組では8台のカメラを使用)や大型クレーンなどの設備に加え、カット割りなどの細かい作業が必要となるためローカル局が行うのは予算的にも難しい。それでも「アーティストの方々の一番の魅力はライブパフォーマンスを見せることで伝わると思うので、そこを重視して番組を作り続けています」(伊豫田章悟プロデューサー)と“ライブ至上主義”を貫いている。

 今年最もブレークしたアーティストといえば昨年4月にメジャーデビューした4人組ロックバンド「Official髭男dism」(以下ヒゲダン)だが、この番組ではインディーズ時代の17年8月にヒゲダンのスタジオライブを放送している。「(ヒゲダンの)音源を聞かせていただいたところ、スタッフみんなが非常にいいと感じました。(メジャーデビュー前でも)それをテレビで放送するのが名古屋ローカルの自由度の高さ。いいと思ったものをブッキングできる」(伊豫田プロデューサー)とローカル番組ならではの強みを生かして注目のバンドをどこよりも早く紹介した。

 また8月には「楽器を持たないパンクバンド」として話題沸騰中の6人組女性グループ「BiSH」のライブパフォーマンスを「ノンストップノーカット」で45分間放送した。通常30分の番組だが「BiSHは以前から番組でもいろいろな手法で魅力を伝えてきました。ぶっ通しでライブを見せるのも地上波ではなかなかない。別の観点から何か面白いことをしたいなと思い、45分間のライブを一度も止めることなく収録し、ノーカットで放送しました」(伊豫田プロデューサー)と大胆な試みにチャレンジした。すると番組放送から2か月後に人気バラエティー「アメトーーク!」(テレ朝系)が「BiSHドハマり芸人」としてBiSHを取り上げ、一気にブレーク。BomberEの公式ユーチューブチャンネルにアップされていた過去のBiSHライブ映像も100万回を超えるものが出るなど再生回数が一気に伸びたという。

 メ~テレはローカル局では珍しく「エンタメ~テレ」「ダンスチャンネル」と2つのCSチャンネルを持っており、この番組は地上波だけでなくCSでも放送されている。名古屋ローカルの音楽番組でありながら、ユーチューブ、CSで全国どこからでもライブ映像を視聴可能という間口の広さも持っている。「いい音楽を届けたいという志。それがBomberEが積み上げてきた歴史でもあるし、いろいろなアーティストさんたちから認知されている理由でもあると思います」(伊豫田プロデューサー)。これからどんなアーティストがブレークするのか。この番組で放送されるライブに注目だ。