9月の内閣改造で初の閣僚入りが取りざたされている自民党の橋本聖子参院議員(49)に、思わぬ“ブチュー・スキャンダル”が持ち上がった。橋本氏が日本選手団団長を務めた2月のソチ五輪で、フィギュアスケートの高橋大輔(28)に無理やりキスをしたという赤面写真が20日発売の「週刊文春」に掲載され、物議を醸しているのだ。改造を直前に控えたタイミングでの報道は、橋本氏の追い落としを狙ったものなのか。キナ臭さも漂うブチュー騒動の舞台裏を追跡した――。

「貴公子の受難」と見出しが打たれた2人のキス写真は衝撃の一言だ。橋本氏は右手を肩越しに高橋の背中へ回し、左手は高橋の右手の指に絡め、完全にホールド。その唇が高橋の口元をとらえた決定的瞬間が写された。顔をそらす高橋を橋本氏が強引に“捕獲”しようとするカットもある。

 文春によれば、キス事件は2月23日のソチ五輪閉会式後に行われた打ち上げで起きた。酒が入ったとみられる橋本氏は選手一人ひとりを抱擁し、ねぎらったが、高橋にはキスを迫り、強引なキスは数回に及んだという。

 橋本氏はスピードスケートと自転車で夏冬両五輪に7度出場し、1992年のアルベールビル冬季五輪で銅メダルを獲得した五輪の申し子。引退後に参院議員に転身し、当選4回、勤続19年のベテランになる。夫は警察官で、子供も6人(実子3人)いる。スポーツ界では日本スケート連盟と日本自転車競技連盟の両会長、日本オリンピック委員会(JOC)の常務理事兼選手強化本部長、20年東京五輪組織委員会の理事なども務める。

 そんな要職にある橋本氏が、高橋にキスを迫ったとなれば、セクハラやパワハラに当たる可能性も出てくる。いずれも女性側の被害が問題視されがちだが、男側が被害者のケースも最近では珍しくない。“被害者”側の受け止め方にもよるが、今回の件では、観念した高橋が目を閉じ、すべてを受け入れた様子が写真からうかがい知れる。

 だが、橋本氏を知る関係者はセクハラやパワハラ説を一笑に付す。

「橋本氏はスポーツ外交の顔で、東京五輪招致でも奔走した。会合では、海外の関係者から『セイコ』と親しまれ、ハグはもちろん熱いキスやお姫様ダッコされるのもしばしば。本人も慣れているから、日本人から見ればオーバーともいえるスキンシップを取るのも珍しくない。キス魔という話は聞いたことがありませんけど(笑い)、酒が入って悪ノリしたんでしょう」(党関係者)

 とはいえ、そんな“聖子事情”は、熱狂的なことで知られる高橋ファンの女性からすれば知ったことではない。19日には都内の地下鉄に文春の広告が張りだされ、その写真がツイッターに投稿された。情報は広がり、「女のセクハラ」「大ちゃんに気安く触るな」「おばさん、ふざけるな!」「橋本は辞職しろ」「大ちゃんがかわいそう過ぎる」などとネット上では、高橋ファンらが卒倒&激怒する事態となっている。

 安倍晋三首相(59)は9月3日の内閣改造で、過去最多と並ぶ5人かそれ以上の女性閣僚の起用を示唆し、橋本氏は少子化担当相兼五輪担当相での入閣が噂されていた。
「内閣改造前は候補のスキャンダルがなにかと出るもの。橋本氏は父親の借金問題を蒸し返されるのがネックでしたが、それでも支障をきたすものではなかった。今回もスキャンダルというほどの類いではないが、パワハラやセクハラとの批判は避けられないかもしれない」(永田町関係者)

 永田町では写真の出どころも注目されている。

 現場はマスコミがシャットアウトされた選手村内の一室だったため、撮影者は限定される。永田町の関心は、誰から漏れたのか、意図的に流したのかという点だ。

「橋本氏は長老キラーで、党重鎮陣からもかわいがられ、党内での敵は少ない。JOCやスキー連盟の方がお家事情は複雑で、橋本氏をよく思わない勢力からのリークが疑われています」(橋本氏の地元関係者)

 橋本氏は19日、本紙の取材に事務所を通じて「キスを強制した事実はない。高橋選手へ敬意と感謝の念は持っていましたが、それ以上になにか特別な感情があるわけではありません」としたうえで「(セクハラ行為との)認識はありません。選手や役員は外国の選手らとの交流が多く、打ち上げなどではごく自然にハグやキスすることがあります。ただし一般の方の誤解を招くようなことがあったとすれば、気を付けなければならないと反省しています」などと話している。