新日本プロレス27日の神戸大会で、IWGPヘビー級王者の辻陽太(33)が後藤洋央紀(47)の挑戦を退け、初防衛に成功した。10月12日両国大会では、G1クライマックス覇者・大岩陵平との頂上決戦が決定。新時代を牽引する王者がリング外で推し進めているのが、団体のアジア進出に向けた動きだ。オフに自腹で各国を回る辻の真意と将来的な野望とは――。

 G1公式戦で敗れたベテランとの王座戦は、互いの覚悟をぶつけ合う熱戦となった。後藤の猛攻に苦しんだ辻だったが、後藤革命をファイヤーブラスターで切り返すと、一気に正調ファイヤーブラスターを発射し3カウントを奪取。ベルトを死守し、G1覇者・大岩との両国決戦に駒を進めた。

試合後、G1覇者・大岩陵平(右)とにらみ合った辻陽太
試合後、G1覇者・大岩陵平(右)とにらみ合った辻陽太

「俺が先頭に立って、この新日本を引っ張って行く。文句があるヤツは出て来い。いいか、文句があるならテメエの力でこの現状を変えてみろ」と豪語した辻は、リング外でも精力的な活動を行っている。それがアジアへのプロレス普及だ。昨年のインドネシアに続き、今年はG1後のオフを利用しベトナムを訪問。現地団体ベトナムプロレス(VPW)に出向き、道場での練習指導や大会視察を行った。これを機に同団体のレスラー・アレスが現在、新日本の道場で練習を積んでいる。

 取材に対し、辻は「アジアは伸びしろがあって物理的にも近い未開の地。菅林(直樹会長)さんが3月くらいにVPWに行っているのを見ていたので、僕も行ってみたいと打診したんです。自腹だということはちゃんと書いておいてください」と経緯を説明。「アレス選手が日本とベトナムの懸け橋になってくれたらいいですね。将来的には新日本がベトナムや他の国で興行をやっていくというのが一番いい形かな」と目を輝かせた。

 新日本は2024年1月からアジア太平洋プロレス連盟を設立・運営し、アジア圏のプロレスマーケット拡大を目指している。辻の活動はあくまで個人的なものだが、新日本が再び「世界一のプロレス団体」を目指すためという目的は一致している。「人口が多いアジアにいかに普及させて、配信に誘導できるかがキーかなと。WWEを経験した(ジェフ)コブちゃんも『ここのリングがトップだ』と言ってるんですよ。でも会社の業績としては、何十倍の差があるじゃないですか。コンテンツとしては世界に通用するはずなので、それをどう広げていくかが今後の課題ですね」と分析した。

「僕が入った時(17年)は、新日本は本気で世界一を目指していたと思うんですよ。AEWの旗揚げやコロナ禍で差が開いてしまったかもしれないですが、あの時の雰囲気を取り戻したいですね。一人ひとりがそう思っていないといけないと思うんです」。活動を成就させるためには王者としての影響力も必要不可欠。辻の覚悟と大志が、世界のプロレス界に〝革命〟を起こす。