さよならポニーテール「空も飛べるはず」

 今回取り上げるのは、2012年に放送されたアニメ「つり球」のエンディングテーマ、さよならポニーテールによる「空も飛べるはず」だ。

 その前にアニメではなくドラマの話題で恐縮だが、現在放送されている注目ドラマ「Tシャツが乾くまで」の主題歌に、スピッツの新曲「見知らぬ糸」が使われている。これが一聴しただけでスピッツ以外の何ものでもない、まさに“スピッツ印”のメロディーライン。

 スピッツの楽曲は、草野マサムネによるボーカルが重要であることは大前提なのだが、曲(メロディー)自体が強力極まりないので、他のアーティストがカバーしてもほとんど元曲の魅力が損なわれることがない。

「ロビンソン」や「チェリー」などは、カバーバージョンがいくつあるのか分からないほど多く、大ヒット曲「空も飛べるはず」も広瀬香美や中島美嘉、さらには布施明までたくさんのアーティストにカバーされている。さよならポニーテールのバージョンもその一つだ。

 このアニメバージョンは、女性ボーカルによって割とあっさり、素朴な雰囲気で歌われている。しかし、スピッツのオリジナル版と比べてガラリと違う印象を受けるかといえば、そんなことはない。歌声が違うだけでなくアレンジも基本的に別物であるにもかかわらず、どこをどう聴いても「空も飛べるはず」なのである。オリジナルの方がいいとか、カバーバージョンの方が面白いとか、どちらが上かなんてことはリスナーの好みの問題でしかなく、聴いて感じるのは「やっぱりいい曲」のひと言に尽きてしまう。

 要するに、スピッツの曲というのは世に出た時点で“スタンダードナンバー”なのだ。カバーが多いのはその証拠だろう。ちなみに、さよならポニーテール版「空も飛べるはず」は、「つり球」のエンディングにピッタリとマッチしていた。アニメとの親和性で言うなら、オリジナルではなくこのカバーバージョンが正解だったと思う。