【つづれおり/キャロル・キング(1971年)】

 米国を代表する女性シンガー・ソングライター、キャロルの最高傑作。55年たった今でもそのみずみずしさとアルバムの完成度は全く色あせることはなく、名曲の数々は胸に響く。

 まだ20代だった1960年代初頭からいわゆる「ブリル・ビルディング・サウンド」の作家として、夫のジェリー・ゴフィンとともに「ゴフィン&キング」として数え切れないほどのヒット曲を作り上げた。若き日のビートルズのメンバーがフェバリットのソングライターとして挙げていたほどで、世界的な名声を得た。

 68年のバンド「シティ」を経て、70年代に入ると自分でピアノの弾き語りを始めるが、同作はソロ2作目にして最大のヒット作となった。A面冒頭の「空が落ちてくる」から「去りゆく恋人」、全米1位を記録した「イッツ・トゥー・レイト」、「ホーム・アゲイン」「ビューティフル」「幸福な人生」などズラリ名曲が並ぶ。

 B面もジェームス・テイラーがカバーして全米1位を記録した「君の友だち」、「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」、アレサ・フランクリンに提供した「ナチュラル・ウーマン」のセルフカバーで幕を閉じる。

 キャロルの歌声の魅力はその素人っぽさにあるとされるが、とにかく聴く側に全く威圧感を与えないのだ。優しく包み込むように、それでいて力強い。アルバムを聴き終えた後に残るのは胸いっぱいの幸せな充実感である。同作は15週連続全米1位に輝いたが、商売っ気は感じられない。ここにあるのは本物の「歌」である。まさに「ナチュラル・ウーマン」が身の丈のままに歌い上げた歴史に残る名盤だ。