黒沢明監督の「影武者」などに主演した俳優の仲代達矢さんが死去したことが11日、分かった。92歳。「無名塾」を主宰し、後進育成にも心血を注いだ。
仲代さんは1952年に俳優座養成所に入所。小林正樹監督の大作「人間の條件」シリーズでスター俳優となった。
「用心棒」「椿三十郎」などの〝黒沢作品〟に常連として名を連ね、カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した「影武者」や大作「乱」に主演した。
テレビではNHK大河ドラマ「新・平家物語」に平清盛役で主演。舞台でも「令嬢ジュリー」「ハムレット」など多くの作品で活躍した。
75年に妻の宮崎恭子さんと「無名塾」を創設し、役所広司さんら後進の育成に努めるとともに、シェークスピア作品などを上演した。
役者人として最後まで現役を貫いた仲代さん。記憶に新しいのは2023年3月に東京・北千住のシアター1010で開催した一人芝居「バリモア」だ。90歳とは思えぬ気迫の演技で満員の客席を魅了した。
初日を終えた仲代さんは「自分で思ってもみなかった90歳ですが、人間こんな歳になっても案外やれるものなんだな、というのが実感です。とにかくひとつの峠を越え、ほのかな火照りが体の中にみなぎってくるのを感じます」と力強く語っていた。
同舞台を観劇した芸能関係者によると、チケットは瞬く間にソールドアウト。カーテンコールはしばらく鳴りやまなかった。「90歳の一人芝居はすさまじい。客席にはいわゆるベテラン俳優と呼ばれる人たちもいて、仲代さんの芝居を食い入るように見つめていました。ある70代俳優は『我々も負けていられない』と奮い立った様子でした」
仲代さんは最期まで俳優たちの道しるべだった――。












