28日のNHK連続テレビ小説「あんぱん」第86回で、ヒロイン・のぶ(今田美桜)と恋愛関係になった幼なじみで元同僚の嵩(北村匠海)の実母である登美子(松嶋菜々子)が久々に姿を見せた。

 ドラマのラスト、のぶと嵩が食卓を囲んでいた部屋にノックが。部屋はのぶが仕える国会議員の鉄子(戸田恵子)から借りており、人の出入りが多い。ご近所の誰かだろうと思ってドアを開けてビックリ。「のぶさん、ごきげんよう」と踏み込んできたのは登美子だった。後ずさりするのぶ。嵩は「母さん…」と腰を上げた。

 第50回、出征する嵩が地元高知で見送られる際、「死んだらダメ」と声かけして以来の登場となった登美子。今回は背景に「キーン」と甲高くも、おどろおどろしい効果音が流れた。X(旧ツイッター)では「登美子出たー」「怖っ」「美魔女というか、バケモノかよ」「バケモノ扱いなTL」といった反応が。上京したのぶの部屋に嵩がいるところをピンポイントで〝襲撃〟したタイミングの絶妙さも、怖い印象を高めた。

 登場人物の中で登美子は、消えては現れる特異なキャラクターとして描かれている。

 幼い嵩らを捨てて再婚に走ったかと思えば、何事もなかったかのように再婚前に居候していた義兄・寛(竹野内豊)宅に出戻り。そこで寛の妻・千代子(戸田菜穂)とバチバチ火花を散らす。受験に失敗した嵩が浪人生活を決めると、「1年も待てない」と再び家を飛びだしてしまう。

 嵩が東京高等芸術学院の合格発表を寛と見に来た場面では、喜ぶ2人を後ろで見守り、声もかけずに立ち去るしおらしい姿を見せた。再び物語から消え、次はかつて家族でその味を楽しんだパン店「美村屋」でバッタリと。「ずっとあなたに逢いたかったのよ」と一途な思いを打ち明けた。

 ほどなくして、嵩に召集令状が届いた後には態度を一変。嵩の恩師をまじえた場で「兵隊に向いてない」「体力も根性もない」などと息子をディスった。ひどい言葉の羅列は、戦争の非情さを恨み、嵩の生き残りを願う気持ちの裏返しだったとみられる。

 再登場を繰り返し、そのたびごとに違う顔を見せる登美子。もはや〝七変化〟の怪演と言える。