ボートレース選手の高塚清一さん(77=静岡)が1日に亡くなった。現役最年長レーサーとして活躍し「生涯現役」で旅立った。年齢にまつわる話題が多かった高塚さんだが、その年齢について記者に〝本音〟を明かしていた。

【悼む】突然の訃報を耳にして真っ先に思い出したのが今から12年前、最年長Vを達成した高塚さん(当時65歳)との会話だ。

 2013年1月、とこなめ一般戦で優勝。その快挙から2か月後の同年3月、高塚さんは桐生の一般戦に出場していた。いつものように背筋をピンと伸ばし、プロペラを片手に水面と作業小屋を行き来していた高塚さんに「最年長V」の快挙について尋ねた。

 当時の取材ノートには、その時の一字一句が克明に書き残されていた。

「最年長Vって言われるのは、あまりうれしくないね(笑い)。優勝自体はうれしいし、みんなに『おめでとう』って言われて悪い気はしない。ただ、人間50歳を過ぎたら、もう誕生日はきてほしくないよ。今の僕は線香花火の最後の火花。僕にはSGレーサーのようなプライドもない。もうバカにならなきゃ、この年までやっていられないよ」

 最年長Vから絶好調モードに突入。この取材を行った大会でも快進撃を続け、予選を突破した。準優1号艇を獲得したものの、結果は惜しくも3着。カポックとヘルメットを脱いだ高塚さんは「1Mで舟が浮いちゃった。ああいうところが一流選手との差だね」と悔しがった。その一方で「優出したらまた(年齢の)記録のことでワーワー言われるから、3着でちょうど良かったよ」と笑った。

 その後もピットで何度か取材する機会があったが、快勝しようが大敗しようが喜怒哀楽を出さず、ひたむきに走り続けた。最後に交わした会話も忘れられない。

「66歳になると老眼だから、ナイターのスタートは厳しいね…」

 そこから11年も現役を続けたのは恐れ入る。欲を内に秘め、常に淡々と仕事をしていた高塚さん。あなたは正真正銘の「生涯現役」のレーサーです。どうか安らかにお眠りください。合掌。(江川佳孝)