〝荒れる春場所〟を総括――。大相撲春場所千秋楽(24日、大阪府立体育会館)、新入幕の尊富士(24=伊勢ヶ浜)が幕内豪ノ山(25=武隈)を押し倒して13勝2敗で初優勝。110年ぶりとなる新入幕Vの快挙を達成した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)は、右足首を負傷しながら強行出場で賜杯をつかんだ尊富士を改めて絶賛。一方で、新鋭力士に独走を許した上位陣には奮起を促した。
大相撲の歴史に、その名を刻んだ。尊富士は豪ノ山を左四つに組み止めて前に出ると、土俵際で粘る相手を力強く押し倒して優勝を決めた。前日14日目の取組で右足首を負傷。自力で歩くことができず、救急車で搬送された。それでも、強行出場で賜杯をつかんだ尊富士は「気力だけで取りました。(患部は)痛いですけど、やって良かった」とかみしめた。
新入幕力士の優勝は1914年夏場所の両国以来、110年ぶりの快挙。初土俵から所要10場所は歴代1位のスピード優勝となった。幕尻優勝は史上4人目。新入幕で三賞(敢闘、技能、殊勲)のトリプル受賞は1973年秋場所の大錦以来51年ぶり。まさに記録ずくめの初優勝となった。
秀ノ山親方は千秋楽の相撲内容について「ものすごい精神力。休場しても優勝する可能性があった中で、自分から優勝を取りにいった。当たりが強い豪ノ山に対して、腹をくくって逃げずに攻めたところにも気持ちの強さを感じる」と分析。出場にかける執念のみならず、立ち合いの変化など安易な手段を選ばずに自分の相撲に徹した姿勢を絶賛した。
今場所の尊富士は持ち味の速攻相撲で土俵に旋風を巻き起こした。秀ノ山親方は「15日間を通して、攻めの姿勢を貫いていた。スピードと馬力を生かしつつ、当たる角度やポイントも的確。どんなに重い相手でも上体を浮かせたら軽くなるし、前に持っていくことができる。押し負ける場面がほとんどなかった」と評価。その上で「尊富士にしかできない相撲を磨いて、どんどん番付を駆け上がってもらいたい」と今後に期待を寄せた。
一方で、今場所は幕内2場所目の大の里(23=二所ノ関)も活躍。千秋楽は新鋭の2人が賜杯を争う構図となった。ただ、裏を返せば、上位陣がふがいなかったとの見方もできる。新大関の琴ノ若(26=佐渡ヶ嶽)は尊富士との対戦に敗れ、東正位の大関霧島(27=陸奥)は5勝10敗と大負け。他の役力士も優勝争いから次々と脱落していった。
秀ノ山親方は「ちょんまげの新入幕力士と、ザンバラ髪の幕内2場所目の力士が最後まで場所を盛り上げた。若い力が出てくるのはいいことだけど、上位陣はちょっとだらしなかった。若手で上がってきた力士は徹底的に叩き潰すぐらいの気持ちの強さが、上位にはほしい。そこで、若手にのまれているようでは…。番付の意味は何なんだという感じになる」と奮起を促した。
来場所以降も、新鋭力士が活躍を続けるのか。それとも、今度は上位陣が意地を見せるのか…。土俵の勢力争いに注目だ。












