2023年7月期のTBS系ドラマ「トリリオンゲーム」にレギュラー出演するなど、活躍の場を広げている俳優の猪征大(いの・ゆきひろ=31)が3月1日公開の映画「あとがき」で長編映画初主演を務める。地方から上京し、下北沢で役者の夢を追いかける主人公と、その相棒の8年間を描いた物語だ。特別な思いを持って向き合っているという本作について、話を聞いた。
――演じる主人公の染井春太が、まさに自分自身
猪 春太と僕の人生がすごくリンクしているんですよ。僕自身も地方から上京して、撮影時点で下北沢に8年間住んでいて、有名な役者を目指してくすぶっていたので。オーディションを見つけた時には「え!? 丸々オレのストーリーじゃん!」と。
――すごい偶然
猪 本当に偶然で。脚本を読んだら、自分の実体験なんじゃないかというシーンがたくさんあって、役を勝ち取れて良かったなと。
――これまで苦労が多かった
猪 23歳の時に全くの未経験で役者を始めたので、大変でした。最初はエキストラのアルバイトから始めて、ドラマ制作の裏方としても働いたり、フリーの期間も長くて。今の事務所に拾ってもらった時にはもう29歳で、本当にやばいなと。
――高校生の頃、ドラマの影響で役者が夢に
猪 そうなんです。ただ父親から「社会も知らないのにナメるなよ」とこてんぱんにされまして。まさにその通りだと思ったので、役者を志望しながらも専門学校に入学し、その後就職してホテルマンとして3年間働きました。
――一度は夢を諦めた
猪 半分諦めていました。自分はホテルマンとして生きていくのかなあと。だから、同世代の俳優の活躍をテレビで見るたびに悔しくて、悔しくて。それで次第に「コイツ、こんなにテレビ出ているけど、芝居クソじゃん」とか。勝手に家でボソボソつぶやいたり、ネガティブな自分のモードも入ったりして。
――どう再起した
猪 ある日、飲み会でホテル時代の先輩がふと「やりたいことをウジウジ言って、やらないのはダサくない?」とぼやいたんです。僕に向けた言葉ではなかったんですが、人の演技に文句言って、本当は役者やりたいのに挑戦もしない、そんな自分の胸に突き刺さったんです。それで次の日に会社に電話して「年度いっぱいで退職します」と伝えました。
――そうして23歳の未経験の役者志望に
猪 最初のころは回り道したなあって思うことも多かったんです。でも、この映画「あとがき」に出会って今まで自分が過ごした時間はムダじゃないと思えるようになりました。こんな自分に重なる物語にはなかなか巡りあえませんし、僕だからこそ出せるものがあると思っています。
――「あとがき」で届けたいメッセージとは
猪 今を生きるすべての方の、ほんのささいな人生の応援歌になったらいいかなと。人生には何が正解で何が間違っているとかないので。今生きている自分と過去の自分、そしてこれからの自分をたくさん愛せるような、そんな時間の一部になれたらうれしいです。
☆いの・ゆきひろ 1992年9月28日生まれ。静岡県出身。高校時代はバスケットボールに打ち込み、県ベスト4の実績を残す。2019年4月にフジテレビ系「ストロベリーナイト・サーガ」でドラマ初出演。映画「ラーゲリより愛を込めて」やドラマ「トリリオンゲーム」など多数出演。身長182センチ。趣味はギター弾き語り。












