【悠木碧「クピドゥレビュー」】

「クピドゥレビュー」は、2014年に放送されたアニメ「彼女がフラグをおられたら」のオープニングテーマで、歌っているのはアニメでも現役アイドル役で声を担当していた声優・悠木碧。これが声優シンガーとして2枚目のシングルだった。
 この曲のサウンドは、ひと言でいえば“スウィング・ジャズ”だ。2022年のアニメ「SPY×FAMILY」のOP曲だったOfficial髭男dismの大ヒット曲「ミックスナッツ」もアレンジにスウィング・ジャズ的要素を大幅に取り入れたものだったが、「クピドゥレビュー」も同様にホーンセクション中心のビッグバンドによる演奏で、弾むリズム、華やかな音色が気分を高揚させてくれる。
 カウント・ベイシーやベニー・グッドマンなどのスウィング・ジャズが世界的に流行したのは1930~40年代。もはや“大昔”なのだが、このサウンドは今でも、というか一周回って今だからこそ新鮮に響く。とはいえヒゲダンも悠木碧もただレトロな音楽をやっているのではなく、そこにJポップのキャッチーなテイストや、キュートなガールポップの魅力を加味して“現在進行形のスウィング・ジャズ”になっていることが重要だ。
 特に「クピドゥレビュー」における悠木碧のボーカル力。彼女は声優としてどんなタイプの役柄(声)でもすさまじい表現力で演じてしまう超絶技巧の持ち主だが、それは歌うときでも同じ。ここでの歌声はかわいらしさとエキセントリックさが同居した唯一無二のもの。この曲が発売されるちょうど30年前に世を去ったカウント・ベイシーにもぜひ聴かせたかったな。