福島県二本松市の動物園「東北サファリパーク」で28日、ライオンのおりの中で男性飼育員の加藤健一さん(53)が首から血を流して倒れていたのを他の従業員が発見した。意識不明の状態で病院に搬送されたが、死亡が確認された。かまれたような傷があり、福島県警はライオンに襲われたとみて詳しい状況を調べている。

 加藤さんはバックヤードにエサを準備する担当だったという。東北サファリパークは公式サイトで臨時休園すると報告した。園内では、車に乗って放し飼いのライオンを観察できるライオンエリアと、おりのライオンをじっくり観察できるウォーキングエリアがある。加藤さんが見つかった場所は、放し飼いエリアのバックヤードにあるおりだった。

 通常、ライオンの世話にはルールがあるという。動物園関係者は「ライオンは直接、飼育員と接しない『間接飼育』という方法を取ります。日中にライオンが展示場のおりにいる間に、展示場と寝室であるバックヤードとの間の通路の扉をしっかりと閉め、バックヤードの準備。朝夜にライオンがバックヤードにいる間に展示場の準備。同じ空間にいないことが鉄則です」と指摘した。

 また、「過去のライオン、トラなどの猛獣による飼育員への襲撃事故の多くは、扉を閉めなかったことや、扉の鍵の閉め忘れという人災が原因となっています。なぜ、ライオンと飼育員が同じ空間にいたのかが調査されるでしょう」(同)と解説した。

 エサが満ち足りて、野生を忘れたかのような動物園のライオンだが、本能が目覚めることもある。

「動物園の猛獣は、飼育員が背を向けたり、しゃがんで目線が同じ高さになったりすることでスイッチが入るといわれています。ただ、動物園のライオンの多くは自然界で獲物を仕留めて食べたことがないはずですが、じゃれる程度でも、人間には致命的になってしまう」(同)

 今回は首から血を流していたということで、ライオンの本能にスイッチが入ってしまった可能性がある。